TAJIHM の 兵庫の山めぐり <イングランドの山・イングランドの丘 
 
レイク・ディストリクト
(ヘルヴェリン山)  949m
1/2.5万地図 : Lake District
 
【2001年2月】 2001-13(TAJI&HM)
 
   南のフェアフィールド山より 2001 / 2

 帰国まで一ヶ月が迫ったおり、レイク・ディストリクト国立公園(湖水地方)のことを考えて、何度か訪れているのに、その代表的な山には一つとして山頂を極めていなかったことが心残りだった。そこで改めて湖水地方の山を考えてみた。日本風に湖水地方三山として名を上げれば、まずは最高峰のスカフェル・パイク山(Scafell Pike:977m)、そして北部の雄峰スキドー山(Skiddaw:931m)、それと迫力のあるヘルヴェリン山(Helvellyn:949m)であろうか。これにオールドマン・コニストーン山(The Old Man of Coniston:803m)、グラスムーア山(Grasmoor:852m)、ピラー山(Pillar:892m)、グレイト・ゲイブル山(Great Gable:899m)、ハイ・ストリート山(High Street:817m)、ボウフェル山(Bow Fell:902m)、スカフェル山(Scafell:964m)、フェアフィールド山(Fairfield:873m)、サドルバック山(Saddleback:868m)、グレイト・ドット山(Great Dodd:856m)などを加えて、まずは有名どころと言えるかと思える。その一つは登って帰国しようと考え、決めたのがヘルヴェリン山だった。理由は単純で、リーズ市から考えてアプローチとして一番容易ではと思えてのことだった。ついでに湖水地方を山旅として二泊程度の小旅行で楽しもうと計画した。
 その日は2月23日。6時半という真っ暗な中、リーズ市内のアパートを出発した。M1ノースを走り、Scotch CornerよりA66へと入った。既に夜は明けており、快晴の空が広がっていた。朝日が風景を輝かせていた。Penrithの街が近づいて北の山並みが眺められると、そちらはすっかり白くなっていた。M6と交差して湖水地方に近づいた。その山並みも真っ白かと思っていたところ、湖水地方の山は頂上付近が白く見える程度で、さほど白くは無かった。ケズウィックの町を通り抜け、A591を南下した。そして9時半過ぎにThirlmere湖そばにあるヘルヴェリン山の登山口駐車場に到着した。駐車場には既に数台の車が止まっており、出発準備を忙しげにしているグループも見られた。こちらも準備を済ませて歩き出すと、ほぼ同時に近くの4人の中年グループも歩き出したので、100mほど遅れて付いて行くことにした。駐車場そばからフットパスがすぐに始まっており、小橋を渡って山に向かい出した。途中で登山道は山に向かう方向と右手の森に向かう方向とに分かれたが、そこにある標識では山頂方向は右手の森側を指しているように思えた。しかし先行グループがまっすぐ山に向かっていたので、こちらもその方向に向かうことにした。程なく、その道もヘルヴェリン山に向かうことを示す標識に出会い、一安心である。道は始めこそ山裾の牧草地を緩やかに登っていたのだが、牧草地の柵を越したところより、石を敷いた階段状の登山道に替わった。その石に付いた氷で、道は少々滑り易くなっていた。やがて道はやや急坂となって来た。その一部は積もった雪が固く凍って雪渓のようになっており、その雪渓に付けられている踏み跡を辿って、慎重に登って行く。まだ中腹辺りなのに、この様子ではアイゼン無しでは厳しいのではと少々心配になって来た。その急坂部を乗り切ると、広々とした山陵部に出た。薄黒い雲が空を覆っていたが、ガスの心配はなさそうで、周囲の山並みが広々と眺められた。遠方では、明るい陽射しも見えている。足下の水たまりはすっかり凍っており、肌を突き刺す冷たい風が、常に吹いていた。氷の上で滑らないように注意して歩いて行くが、道は緩やかなまま真っ直ぐに伸びており、不安に思えそうな所が見えていないのは安心だった。ただどこが山頂なのかはっきりと分からないまま進んで行くと、一番高そうに見られる位置に三角点を示す台座が現れたので、そこが山頂であることが分かった。とにかく山陵部はなだらかそのもので、ガスに合わなかったことを幸運に思えた。(ガスに巻かれれば、とうてい山頂が分かりそうに無い。)その山頂より南西方向に湖水地方の最高峰、スカフェル・パイク山を中心とした山並みが見られたが、そちらは山稜部に雲がかかっていた。またこのヘルヴェリン山の山頂より、南の方向へと登山道の続いているのがはっきりと見えていた。ただ山頂に暫く立っていたのだが、そこは一段と風が強く、寒さも一層厳しかった。顔が痛くなるほどの冷たさだった。そこでたまらず山頂そばにあった暴風除けの壁に隠れて休憩とした。ついでに昼食をと考えたが、あまりの寒さのためにどうにも食欲が出なかった。程々の休憩で下山に向かうことにした。すんなりと登って来たコースを辿ることにする。このヘルヴェリン山は有名な山だけあって、下りでは10人以上のハイカーとすれ違ったのだが、驚かされたのは登りで慎重に歩いた雪渓の所だった。幼児を連れた親子連れが、その雪渓をごく普通のように登っていたのだった。やがて足下には Thirlmere湖やその北のケズウィックの町並みが見えて来た。そして西にはハイシート(High Seat)の山陵も見えており、その遠方は Derwent Fell の山群が広がっていた。その風景を楽しみながらゆっくりと下って、駐車地点へと戻って行った。そして下山を終えて時計を見ると、まだ13時になったばかりだった。この日はヘルヴェリン山登山だけで終わるつもりだったが、午後の短い時間の中でもう一つ小山程度を登ることにした。そこでヘルヴェリン山からさほど離れていないバタミヤ湖周辺を目指して駐車地点を後にした。
(2005/12記)(2025/7写真改訂)
<HIKE日> 2001年2月23日 9:40スタート/11:10〜30山頂/13:00エンド。
(天気) A66では快晴の空だったが、レイク・ディストリクトに近づくと徐々に雲が増えてきていた。スタートする頃はヘルヴェリン山の方向の空は雲に覆われ出した。始めはやや肌寒い程度だったが、山陵に出ると身を刺すような冷たい風が吹いてきた。気温は山頂で−3℃だった。ただ強い風の影響で体感温度は−10℃以下ほどにも思えた。視界は良く遠くまではっきり見えていた。
<< Photo Album 2001/02/23 >>
Thirlmere湖畔よりフットパスを登り始めと、足下にThirlmere湖が見えていた 西の方向を見ると、ちらりと高峰が見えていた 北のSkiddaw山が見えてきたが、その山頂はガスに隠されていた
先行者の後をついて行った 尾根にちらほら雪を見るようになった 西の高峰をはっきり見るようになった 雪の上を歩くようになった 西の高峰を広く眺めた
足下はThirlmere湖だった
北のSkiddaw山は、ほぼ姿を現していた 山頂方向はなだらかな尾根となったが、雪は堅く凍りついていた 南西方向に高峰群が見えていた
そちらはScafell Pike山の山並みかと思えた
西の高峰群は雲に隠されようとしていた 尾根から北東方向を見た 足下のRed Turn池は固く凍りついていた 左の写真に写る北東遠くの湖は、Ullswater湖だった
、Ullswater湖を大きく見る 山頂が近づくと、辺りは凍りついていた 山頂に着くと、一角に三角点を示す台座を見た
(←)
山頂から見る西の
方向は、雲に尾根
が隠されようとし
ていた

 (→)
  山頂から南の方向
  を見ると、彼方に
  Morecambe湾が
  光っていた
山頂を離れて引きかしているとき、山頂を振り返った
ガスが下がり始めていた
西の雲は更に下がっていた 下山途中で、小さな子供を連れた家族とすれ違った

(←)
Skiddaw山がまた
姿を現そうとして
いた

 (→)
  Skiddaw山を大き
  く見る
足下のThirlmere湖を眺めた 麓が近づいてきた


 ケズウィックにて(2)

ヘルヴェリン山に向かうとき、ケズウィックの町を通り抜けました。(2001/02/23)


 スキップトンにて(2)

 スキップトンはリーズ市の近郊の街で、スキップトン城が有名です。このスキップトンを訪れたのは2月22日でした。まずはスキップトン城に向かいました。古い城は小ぎれいに保存されており、中世に迷い込んだような錯覚を覚えました。そしてその後は落ち着いた町中を散策しました。(2001/02/22)