赤穂市の南東、千種川の東岸に続く尾根は、小さな山を連ねて三崎山のピークを最後に海に落ちている。その三崎山の標高は70mも無く、遠目には単なる丘にしか見えないが、山頂に御崎灯台があることで、目立つ山になっている。その三崎山の南面は瀬戸内の風景が間近に眺められる立地条件の良さもあって、赤穂御崎のなで温泉街が作られており、観光地になっている。この三崎山を2010年10月の最後の土曜日に、午後の散歩として訪れた。
この日は朝まで雨があり、その後も雨こそ降らなかったが、すっかり曇り空だった。どうも遠くに出かける気分にはなれず、気分転換に近場で海を見ようと考えたとき、三崎山の散策を思い付いたものである。車を赤穂御崎へと進めると、三崎山への道に入って少し登った位置に無料の駐車場が現れた。そこに車を止めても良かったが、その近くの伊和都比売神社の前に車を進めるとその前に駐車場があり、そこからは目と鼻の先が瀬戸の海だった。そこで神社の駐車場に車を止めることにした。間近に家島諸島と小豆島を眺めてから散策開始とした。伊和都比売神社へと歩き、本殿の右手を歩いて行くと、細い車道に出た。その車道は対鴎館への道で、それを逆方向へと歩くと、温泉街に通じるメイン車道に合流した。東へと緩い坂を登って行くと、ホテルが見られるようになり、温泉街を歩いている雰囲気になった。通る車は県外ナンバーが多いようで、週末の小旅行を楽しんでいるように思えた。車道を登る形で東へと歩くと、山裾を回り込むように北東へと道の向きが変わって、岬の海岸線風景が見えるようになった。そして道が北向きになって少し歩いたとき、左手に急階段が現れた。どうみても山頂まで続いていそうだった。その階段へと入る。コンクリートで作られてどっしりとしており、登るうちに二度、車道と交差した。山頂近くまで建物が建っているため、車道が延びてきているようだった。そして最後は細い道となって山頂に着いた。山頂には堂々と赤穂御崎灯台が建っている。海際に近い駐車場から散策気分で歩いて12分で着いてしまったが、灯台以外に何も無いその佇まいは十分に山頂らしさがあり、やはり山頂に立っている実感を持てて悪くなかった。展望は海側が良く見えると思っていたが、そちらは木立が多く、木立の空いた所から小豆島が見える程度だったが、北は赤穂の市街地を囲む山並みが一望だった。ただ残念なのはこの日が曇り空と言うことで、上空の空は白い灯台と同じ色になっており、灯台が目立っていなかった。また山並みも沈んだ色であり、海も同様だった。暫し山頂で過ごした後、次に来るときはぜひ青い空の日に来たいものだと思いながら、山頂を離れることにした。この三崎山は登ってきた道とは別に車道も通じているので、下りはその車道を足の下りるままに歩いて行った。伊和都比売神社の駐車場に戻ってきたとき、改めて正面に見える西島を見ると、山頂に近い位置に頂上石(頂ノ岩)も見えていた。考えてみると陸地ではこの赤穂御崎が一番近いようだった。
(2010/11記)(2019/4写真改訂) |