平荘湖は県下で三番目の大きさを誇るため池。それを囲む尾根は飯盛山が別格で目立っているが、他にもピークとしては黒岩山や升田山、愛宕山などがある。それらをまとめて登って、ちょうど良いハイキングになりそうだったが、一つ一つを小時間で楽しむのも良さそうだった。その考えで平荘湖の南東側にある三角点ピーク、升田山を訪れたのは、2011年1月の寒い日だった。3週間前の天皇誕生日に飯盛山登山と平荘湖散策を合わせてのハイキングをしていたが、このときのスタート地点は平荘湖南岸の弁財天神社に近い位置からだった。左回りで歩き出して、最後に西から戻ってくるとき、南岸が少し湾曲している辺りで尾根に出る登山口を見た。位置からして升田山へ短時間で登れそうだった。そのときにそのまま登ってしまっても良いと思ったが、後日の楽しみと、その日は登らずに終えていたものだった。
15日は午前に用事があり、そこで昼の時間にごく軽い山を登ろうと考えて、思い付いたのが升田山だった。23日のときと同じく、弁財天神社に近い位置に車を止めた。平荘湖の湖岸路を西へと歩いて行くと、8分ほどで登山口に着いた。そこに標識があったが、文字はほとんど消えようとしており、何とか「別当谷」と読めた。その位置から尾根までの標高差はごく僅かで、40メートルほどだった。雑木林に囲まれた小径はごく普通の里山道の雰囲気で、軽い感じで歩いて数分で尾根に出た。尾根には標識があり、西へ向かえば[少年自然の家」まで歩いて行けるようだったが、東の升田山の文字は無かった。但し、小径ははっきり付いていた。その東へと歩くと、すぐに林を抜けて岩場が現れた。この辺りで普通に見られる流紋岩質の岩で、靴底のかかりが良かった。寒風を受けながら岩場の上部を目指す。周囲に展望が一気に広がってきた。その岩場を登りきったピークは灌木が生えている程度で、そこが升田山の山頂だった。三等等三角点があったが、柱石が大きく現れていた。南西から強い風が吹いており、それを避けるべく灌木の陰で昼休憩とした。そこからは加古川流域が一望で、それを眺めながらの昼食だったが、そちらの視界は少し濁ったようになっており、薄ぼんやりとした見え方だった。なだらかな上に僅かな灌木だけとあって、山頂を動き回るのは簡単だった。少し北に移動すると、そちらも露岩が広がっており、今度は平荘湖が一望だった。山並みも飯盛山だけでなく、高御位山、天坊山など加古川市域を囲む山々を眺めることが出来た。下山はそのまま北へと歩けば小径がありそうに思えたが、ヤブに突っ込みたく無く、単純に歩いてきた道を引き返すことにした。本当にこのハイキングは散歩程度で、山頂から別当谷登山口まで5分だった。歩くことについては物足りない思いを持ちながら湖岸道路を駐車地点へと戻っていると、駐車地点まで20メートルも無いと思われる位置で、別の登山口があることに気が付いた。そこに標識は無かったが、入口の様子からして山頂までつながっていそうに思えた。山頂で北へのコースがあるのではと考えたが、その行き着く先がここではと思えて、それを確かめたく、この道で再び山頂に立つことにした。林の中に入ると一度水平な道と合流したが、山頂方向を目指すと、尾根を登るようになった。一度緩やかになって採石場の跡に出た。山がざっくりと削られて、岩がむき出しになっている。登山道はその縁を回るように付いていた。採石場跡の上に出ると、一気に展望が広がった。もう山頂までごく僅かな距離だった。先ほど展望を楽しんだ露岩地を通って山頂に着く。登山口から17分だった。やはり山頂は風が強いので、二度目と言うこともあり、長居をせずすぐに下山とした。この下山も歩いてきたコースを引き返した。この升田山は、平荘湖の南岸にある弁財天神社を起点にすれば、北コースで山頂に立ち、別当谷コースで下ることで周回コースとなるが、30分とかからぬ散歩程度のミニハイキングとなってしまうので、平荘湖周回と組み合わせて楽しむのが面白いのではと思えた。
(2011/1記) |