「郡家」の地図を広げたとき、山名の付く山として熊野山の名を江井崎の近くで見たが、その標高は111mだった。これはちょっと低過ぎると思って登りたい気持ちは起きなかったが、他の山を登った序でなら訪れても良いかとぐらいには思っていた。その熊野山をまさに序での形で訪れたのは2018年12月の第二土曜日のことだった。この日は澄んだ視界が広がる日で、午前は淡路島北部に位置する篝場山を登って十分に展望を楽しんだ。そして午後はまだ登っていない山でもと思って熊野山に向かった次第だった。カーナビを熊野山の東麓となる向谷地区に合わせると、島の西海岸を走る県道31号線を南下することになった。そして江井を過ぎると海岸線の間近を走るようになり、波しぶきを受けるまでになった。そして前方に小ぶりな丘が現れると、それが熊野山と直感した。カーナビに従うと熊野山の手前で左折して枝道に入り、上り坂を走って向谷集落に出た。どこから歩こうかと考えたとき、ちょうど向谷集会所が現れたので、そのそばに駐車とした。そこを起点に熊野山に近づこうと南へと歩き始めた。ガーミンを持っていたのでそこに表示されていた山頂へと通じる破線路に近づいて行くことにした。集落内に入ると熊野山に近づけそうな小径を見たのでそれを辿ると、期待通りに熊野山に近づけた。そして舗装された山裾道に合流した。その舗装路はガーミンの画面に表示された破線の道で、後はその道を辿れば山頂に着けるはずだった。南へと歩くと溜め池が現れて東側から同じく舗装路が合流した。合流点の先で小さな鉾路が現れ、その前を通ると歩く向きは反転して北となり真っ直ぐ山頂に向かうようになった。周囲は緑濃い常緑樹林となり、雰囲気はぐんと良くなった。その美林に囲まれて緩やかな上り坂を登ると山頂に建つ神社が見えてきて、最後は石段を登って神社の前に出た。その神社に着いたときは駐車地点から20分が経っており、標高100mほどの山にしては少し時間がかかったかと思えた。神社の名は見えなかったが、山の名からして熊野神社かと思えた。周囲は樹林が囲んでいるとあって、せっかくの山頂だったが展望はほとんど無かった。木々の隙間から山田港辺りの海岸線が眺められるだけだった。山頂で10分ほど過ごすと下山は往路を戻ったが、溜め池からは南東方向に分かれた舗装路を下った。舗装路は枝道もあって少し迷い込んだりもしたが、広い道を選んで歩くと上那木池のそばを通ることになり、向谷集落のメイン道路に出た。そこからは北へと歩くと、駐車地点となる向谷集会所が見えてきた。その集会所に近づいて行くとき、常隆寺山の尾根が前方に広がってきたのは良い感じだった。
(2019/1記) |