山陽電鉄の的形駅北側には100メートル前後の低山が広がっているが、その山域に関しての記述を初めて見たのは「的形郷土史の研究」の中だった。20ほどの山が紹介されていたが、どの山も位置に関しては明確では無く、「姫路南部」の地図と照らし合わせて考えてみたものの、特定出来たのは数山にとどまった。その的形の山が地元の有志で作られた的形ふるさと里山会の手で登山道が整備され、山名も復活された。そこでハイキングを楽しむことにしたのだが、ごく低山だけに暑い季節は避けて、冬を待つことにした。そして実行したのが2012年で、12月に入った最初の土曜日のことだった。
国道250号線は八家と的形の間は八家峠を越すことになるが、その峠の辺りで的形の山と接している。また国道には歩道が付いていたが、その辺りでは十分な道幅になっており、車を止めても問題無さそうだった。そこで一番広くなっている所に駐車とした。国道と平行して山陽電鉄も走っていたが、電車は足下の位置にあり、峠の所はトンネルになっていた。近くには無線塔が建っており、そちらに向かって小径が続いていた。その小径を歩いて行くことにした。入口には送電塔の標識もあったので、その巡視路にもなっているようだった。まずは無線塔のそばを通る。無線塔はKDDIのものだった。右手の足下には国道250号線が見えていた。左手の山肌には所々で畑が作られていた。巡視路は左手に折れるとトンネルの上を越えて、北へと向かい出した。低山だけに道は緩やかで、またよく歩かれた歩き易さがあった。すぐに現れたのが姫二火力線16番鉄塔だった。そこを過ぎて竹林のそばを通ると、紅葉の木が目に付くようになったが、ちょうど見頃になっており、目を楽しませてくれた。登山道には案内標識が的確に付いているので、それに従って大日山の手前にある青の山への道に入った。上り坂になって現れたのが姫二火力線17番鉄塔だった。そこは少し展望があり、西の風景が眺められた。鉄塔を過ぎて、その先の小さなピークが青の山だった。そこは雑木に囲まれて展望は無し。足を止めずに通過して大日山を目指した。その先は巡視路と言うよりも自然な山道で、北東の方向へと進んだ。周囲は紅葉よりも常緑樹が多くなって、いかにも低山と言った雰囲気だった。登山道は緩やかに続いていたが、途中で大日山、坂の山への道が右手に分かれた。そちらに入ると竹林の中を歩くようになったが、そこを抜けて上り坂となった。良い感じの上り坂で、登りきった所が大日山のピークだった。そこには東屋が建っており、南に向かってすっきりと展望が広がっていた。ここで昼休憩とした。東屋の中で休んだのだが、北からの風があって、ちょっと肌寒さを感じた。昼食を済ませた後は展望を楽しんだ。足下は的形の町並みで、その先は瀬戸の海だった。上空は雲が増え出しており、陰ったり陽が現れたりを繰り返していた。休憩を終えると、次は東隣りの坂の山に向かった。そちらへも登山道は続いており、緩い下り坂で鞍部に出ると、そこは峠のようになっていた。特に目印は無かったが、東へ進むように心がけると、自然と坂の山に向かうようになった。緩い上り坂を登って坂の山のピークに出た。坂の山には東屋こそ無いもののベンチが置かれており、大日山に負けていない好展望のピークだった。南の展望が良いのは大日山と同様だったが、こちらは東にも展望があって、高御位山が山頂を覗かせていた。この日は的形の山の代表として、大日山と坂の山を登ることが目的だったので、これ以上他のピークを求める気は無かったので、ハイキングはここまでとした。まずは大日山に引き返し、そこより南へと始まっていた登山道で麓を目指した。下り着いた所は地集落の一角で、集落の小径を抜けると湊神社の前に出た。後は山陽電鉄の踏切を越えて線路の南側に出ると、線路沿いの小径を歩いて駐車地点へと戻って行った。この的形の山にはまだまだ小さなピークが幾つもあるので、次はヤブコギを含めて他のピークにも登ってみたいものだと思って、この日のハイキングを終了した。
(2012/12記) |