TAJIHM の 兵庫の山めぐり <播磨編
 
伊保山    いほやま 112m 高砂市
 
1/2.5万地図 : 加古川
 
【2008年8月】 2008-82(TAJI&HM)
 
   高砂市松陽より  2008 / 8

 近くで目立つ山でもなぜか足の向かない山があるもので、「石の宝殿」で名高い生石(おうしこ)神社のそばに立つ伊保山がそれだった。その足の向かなかった原因は知人の話によるもので、その伊保山の石切り風景を写真に撮ろうとしたところ、石切り職人に恐ろしい形相で追いかけられたというものだった。その話が頭の中に刷り込まれて、伊保山一帯は恐ろしい所と勝手なイメージを持ってしまっていた。その目立つ伊保山にも一度は登っておこうと思ったとき、登山道に関する知識を持っていないことに気がついた。ただ何となく気軽に山頂に立てそうに思え、また生石神社からその登山道があるのではと、勝手な想像をしてしまった。そして天気の少し悪い日で、遠方の登山は遠慮するものの近くの低山ならかまわないと思える日にでも登ろうと考えた。
 向かったのは2008年8月最後の土曜日で、朝から雨の降る日だった。雨と言っても強く降ったのは前夜のことで、朝は弱い降りになっていた。小止みになることもあって、その空を見て近くの手頃な山でちょっと体を動かそうと考えた。そしてこの伊保山を思いついたものである。登山コースは以前からの考え通りまずは生石神社の背後にある丘に立ち、後はそのとき考えることにした。車は生石神社の駐車場に止めようと考えていたのだが、その生石神社に近づいたとき少し離れた位置から歩き始めるのも悪くないと思い直して、神社から東に400メートルほど離れている高砂市総合運動公園の駐車場から歩き始めることにした。雨はほんの僅か降る程度で、傘を差しながら神社へと近づいた。急坂の石段を登って神社に入ると、境内は整備工事が行われており、工事関係の人が小雨の中で働いていた。ここは竜山石と名付けられた石の産地だけに、背後の丘へは岩を削って作られた階段道が付いていた。数分で丘の上に出ると、そこには屋根の付いた休憩舎が建っていた。また一帯は広く平らになっており、すっきりと展望が開けていた。雨の日ながら視界はまずまず良く、西には大きく伊保山があり、南には北の山肌をざっくりと抉られた竜山が間近だった。少し北へと歩くと高御位山を中心とした播磨アルプスの全貌も眺められた。さてそこからどう歩くかだったが、丘の平坦部を北の端まで歩くと、北西側のふもとにあるため池へと小径の続いていることが分かった。そしてため池の対岸から伊保山には露岩をつなぐ小径が見えていた。その伊保山は採石によってピークは二つに分かれているが、少し低い北のピークへならそのルートで行けそうだった。最高点の南のピークへは北のピークに立ってから考えることにして、まずはため池へと下って行く。小径はごく普通の里山道で下っていたが、露岩が多く、それが雨に濡れて滑り易くなっていた。雨が小止みになっていたこともあり、傘をストック替わりに下って行くと、さほど時間もかからずため池に下り着いた。ただそこから対岸への土手道は草深くなっており、そこで水の少ないことを幸いにため池の水の縁を歩いて行くことにした。対岸に出て小径とおぼしき所を登り始めると、思った通りに小径は露岩をつなぎながら続いていた。そしてちょっと平らな所に出た。一帯は裸地になっておりどこでも歩けたが、北のピークへと近づくと小径はあるものの草ヤブになっていた。そこで最高点の南のピークへ直接向かうことにした。まず鞍部へ下ることになるが、その鞍部を見ると車道が見えており何となく行けそうに思えた。そこで鞍部へと下って行くと、車道が目前となってそちらはさらに厳しいヤブになっていた。そこで先ほどの平らな位置まで戻って思案した。そして決めたのはパートナーはその位置で休憩して、こちらだけ単独でピークを目指すことだった。パートナーは気安い山に登るつもりで来たこともあり、ヤブコギはしたくないとのこと。その平坦地はけっこう展望が良く北には播磨アルプスが一望で、待機場所としては悪くなかった。一人で山頂を目指すと決めたが、ヤブでは傘が差せないので雨具を着ることにした。ヤブコギといっても北のピークまでは100メートルも離れておらず、ヤブコギをすると決めれば大したヤブでも無かった。細々と踏み跡もあり、それを伝いながら灌木を避けたり草をかき分けて行くと、数分で北のピークに着いた。そのピークの西端に立って驚いた。草ヤブをかき分けたその先はすっぱりと切れ落ちた崖になっており、採石場の風景が広がっていた。足下を見ていなければ真っ逆さまに落ちていたかもしれなかった。それまでここが採石場であることを忘れてヤブコギをしており、垂直の壁とのギャップはちょっと大きすぎて、暫し呆然とする思いだった。この北のピークに立ったことで、やはり最高点となる南のピークにも立ちたくなった。そちらへ向かってまずは鞍部へ下り出すと、灌木の中をけっこう適当に下れて鞍部に出た。その先も適当に登り返せて尾根に出た。一帯は笹地になっており、細々とながら小径も見えて、すんなりと南のピークへ登って行けた。その最高点ピークも西端ですっぱりと垂直に切れ落ちていた。こちらも不用意に歩いていると、落下していたかもしれなかった。どうも伊保山は決して気軽にハイキング出来る山では無く、むしろ危険度いっぱいの山と言えそうだった。この採石場の風景を眺めて伊保山の現実を十分に知った。ただ展望地としては良い山で、南には播磨灘まで広がる高砂市の市街地の風景が眺められた。足下に注意しながら最高点ピークで10分ほど過ごした後は、パートナーの待つ北ピーク手前の展望地へと向かった。登って来た笹地の中の小径を逆に下って行くと、何となく鞍部にある地道の車道に下り着いた。その先の草ヤブも意外と大したことも無く、ごく短い時間でパートナーの前に戻り着いた。どうやら山頂を目指すなら、この下山で辿ったコースが一番簡単ではと思えた。後は来た道を逆に辿って戻って行く。山頂に立つ少し前より雨は小止みになっており、傘をストック替わりにして下っていたところ、十分に注意していたつもりだったが足を滑らせてしりもちをついてしまった。そしてその勢いで傘の柄を折ってしまった。どうも伊保山を露岩の滑り易い山としても記憶してしまった。
 生石神社そばの丘に戻ったとき、改めて伊保山を眺めた。登る前はごく低山としか見ていなかったのだが、草ヤブと垂直の岩壁がセットで思い出されて、険しさを持つ山として眺められた。
(2008/9記)
<登山日> 2008年8月30日 11:35総合運動公園駐車場スタート/11:43〜45生石神社/11:43〜12:00[60m]ピーク/12:13〜17ため池のほとり/12:30〜46尾根の展望地/12:51北ピーク/13:15〜27山頂(南ピーク)/13:35〜40展望地に戻る/13:55〜14:05[60m]ピーク/14:15エンド。
(天気) 小雨が軽く降ったり止んだりで、傘を差しながらの登山だった。気温は27℃ほどだったが風が生ぬるく、蒸し暑かった。視界はまずまず良かった。
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生石神社への石段を登って行く 生石神社の前に立った 霊岩のそばから丘への道が始まっていた
丘には屋根付きのベンチが置かれていた 丘から南に間近く竜山が望まれた 丘から西には伊保山が対峙していた
丘から北を見ると播磨アルプスが広がっていた 左の写真の高御位山を大きく見る 北東には志方城山が望まれた
伊保山との間にあるため池へと下って行った 露岩をつなぐ自然な山道を登って行く パートナーが傘を差しながら登ってくる

 北ピーク手前の展望地
 に着く 一帯は平らに
 なっており、北には播
 磨アルプスが一望だっ
 た


 展望地より西に見
 える山頂は指呼の
 距離だった

 北ピークに立って
 峨々とした採石場
 の風景を眺めた
採石で削られた山肌を大きく見る 笹の中を歩いて山頂(南ピーク)に近づいた 笹原にはキキョウがよく咲いていた
山頂から南を見ると播磨灘までが一望だった 足下は採石場の風景が広がる 山頂から北ピークを眺める
山頂より少し戻った位置より北から東にかけてを見る