梅雨時にはままあることだが、土曜、日曜共に天気の思わしくない週があるもので、2004年6月の最終週がそのような週だった。土曜日はパスして日曜日をと考えていたが、日曜日も朝のうちは雨模様の空だった。そこで天気の回復が見込める午後に近くの小山を散策することにした。近場にもまだまだ登っていない山があったが、この一本松もその一つだった。どうも100mを少し越す程度の山は他の山との組み合わせでないとなかなか足が向かないもので、この山も日笠山からのミニ縦走が楽しめるとのことで漸く興味が出てきた次第だった。所用もあって14時も近くなって家を離れたところ、現地に着いて駐車地点を決めかねた。日笠山から一本松へと続く尾根の周囲は住宅地が囲んでおり、簡単には駐車出来なかった。何とか決めたのが、北浜トンネルを北へと抜けた地点にある空き地だった。そこより住宅地を抜けて日笠山登山口へと向かった。空は薄曇り状態だったが、徐々に薄晴れへと明るくなっていた。それとともに気温は上がり、ただ歩いているだけでもじっとりと汗ばんで来た。日笠山の南西麓にある登山口は住宅地の奥にあったが、「大塩ハイキングコース」の標識がありすぐに分かった。数分も歩けば瀬戸内方向の眺めが現れ、もう主尾根に近づいた。ただこの日の湿度は最高で、この僅かな登りだけで大汗だった。陽射しも現れてきた。日笠山山頂に着くと、三角点そばの木陰で一休みとした。この山上までは東麓より自動車道が続いており、1台の車がちょうど登って来ていた。ここには遊具もあり、また桜が植樹されており、ちょっとした公園になっていた。この日笠山山頂より主尾根の縦走に移る。道幅は十分だったが、周囲は竹ヤブなどがあって視界を塞いでいた。少し登りが続いて夫婦岩に着いた。そこは一帯の竹がすっかり刈られており、ちょっとした展望地になっていた。近くにいた年配の人に聞くと、その人が一帯の竹を刈り込んだとのことだった。高砂の市街地から瀬戸内海までがすっきりと眺められた。ここでも一休みとする。その先は再び周囲はヤブとなり、それと共にヤブ蚊がまとわりついてきた。油断をしているとすぐに血を吸われてしまうので、そこは少々急ぎ足で通過する。もう上空は青空が広がり、蒸し暑さで汗まみれである。その後は馬坂峠へと下り、登り返して少し開けた所に出た。ようやくヤブ蚊の心配は無くなった。山中には点々と畑があり、また山上の所々に休憩場所が作られており、地元に密着した里山であることを窺わせた。展望も良くなり、北には桶居山から高御位山の尾根が、そして南は瀬戸内海へと続く風景が広がっていた。上空こそ青空が見えるものの海上の天気は悪いのか、家島も小豆島も雨雲にすっかり隠れていた。北浜トンネルの上の鞍部はあざみ峠と名付けられていたが、そこを越して一本松への登りにかかると、道が少し荒れ出した。草も被さってきて、少し歩きにくくなる。どうやら尾根道として整備されていたのはあざみ峠までのようだった。緩い登り坂なので草ヤブなど気にせず登って行くと、この日の最終目的である一本松の山上に出た。一帯はなだらかになっており、灌木があるぐらいなので展望は良かった。ここまで歩いて来た日笠山からの尾根も一望だった。ここに着いて空模様は再び曇り空へと変わって来た。厳しい蒸し暑さだったが、とにかく一本松まで歩き通したことに満足して、小休止のみですぐに下山に向かった。小径が南東方向へと続いていたので、それを辿ることにした。この道には露岩があって滑らないように注意を要したが、やや急坂ということもあってどんどんふもとに近づき、結構早く住宅地に下り着いた。そこは北浜トンネルの南口に近い位置で、駐車地点まで数分の距離だった。わずか100m前後の尾根だったが、このひどい蒸し暑さの中を所々で休憩はしたものの、2時間半ほども歩いており、終わったときはすっかり疲れてしまっていた。やはり低山は冬の日に、暖かい陽射しのもとでこそ歩きたいと思わずにはいられなかった。
(2005/1記)(2020/3写真改訂) |