淡路島の最南端の岬は潮崎で、そのそばの157mピークには二等三角点(点名・潮崎)が置かれている。その157mピークの三角点ハントをしようと向かったのは、2020年のお盆休暇中となる8月11日のことだった。地図を見ると山頂まで作業道と思われる実線が描かれていたので、行こうと思えば山頂まで車で行けそうだった。それでは面白くないので、作業道を起点から歩くことにした。その作業道は西からも東からもあり、それが山中で複雑に絡まっていたので、地図を見て東からのアプローチが良いのではと思えて、まずは灘仁頃集落を目指すことにした。神戸淡路鳴門自動車道を西淡三原ICで降りると、南下して灘仁頃集落へと向かった。その灘仁頃集落に着くと、車道の終点である仁頃漁港まで車を進めた。淡路島の上空は青空だったので何の心配もしていなかったのだが、仁頃漁港に着くと、海上には霧が発生していた。漁港の上空も霧があり、目的の157mピークの頂にもうっすらガスがかかっていた。漁港には単に157mピークを眺めるために立ち寄っただけだったので、漁港を離れると引き返す形で車を走らせて、灘仁頃集落を抜けた先の仁頃バス停のそばに車を止めた。バスの時刻表を見ると、一日一便しか走っていないようで、157mピークの登山中にはバスは来ないようだった。バス停の近くで車道は仁頃漁港への道と灘漁港への道とに分かれていたが、その分岐点のそばから作業道が始まっていた。その作業道に入ると、いきなり雑草が茂っており、既に廃道になっているようだった。その作業道を少し進むと道幅は広くなり、作業道らしくなってきた。作業道の入口と山頂との標高差は90mほどとあって、作業道はずっと緩やかな道になっており、歩くのは楽だった。また淡路島南部らしく周囲は常緑樹林帯が広がっていた。広葉樹林帯とは違った緑の濃い風景で、これもなかなかの美しさだった。その作業道からは枝道が多くあったため、GPSを見ながら歩いた。概ね西の方向へと歩いて行くと、作業道に入って15分ほど経ったとき、廃屋が突然のように現れた。その位置で作業道ははっきり二手に分かれていたので、地図を見て南に分岐した作業道に入った。その作業道は舗装路になっており、程なく西へと向くようになった。それとは別に山頂への道は舗装路から分かれる形になっていた。どうやら西からの舗装路が山頂への正規の道のようで、そちらなら車で来られそうだった。事実、山頂への道に入って車の轍を見るようになった。その作業道が海岸線に近づいて西へと向かい出すと、左手が開けて海岸線が見られるようになった。まだ海霧があり、遠くは見えず海面を見るだけだった。その左手に塀が現れたので、何か建物が建っているのかと思ったが、塀を通り過ぎたときにその内側を覗くと、建物らしきものは無かった。どうやら産廃関連の施設のようだった。その辺りはきつい異臭が漂っていたので、その異臭がする斜面を覗いてみると、大量のタマネギが捨てられていた。その異臭は別としてその辺りは海岸線が広く眺められて展望地のようになっていた。海が見えるだけで無く西の方向に157mピークも見えていた。その山頂まで地図の通りに作業道は通じており、そこまで歩いてみると一帯は広場のように開けていた。一瞬とまどったが、一番高い位置を作業道は通っておらず、最高点のそばを通り過ぎていたことが分かった。そこで引き返してひょいと言った感じで最高点に上がると、そこにあっさり二等三角点を見た。斜面の近くにあり、今少し斜面側の土が削られると三角点は斜面に落ちてしまいそうだった。三角点を見つけるのが目的だったので、先ほどの展望地で一休みすると、歩いてきた作業道を忠実に辿って、駐車地点へと戻って行った。ところで点の記を見ると、字名は「西ノ山」となっていたので、地元では西ノ山と呼んでいるのかも知れないと思った。
(2020/8記) |