この加西市のど真ん中にある小山と言うか丘が気になったのは、その点名からだった。山頂の四等三角点は点名が万頭塚(まんとうづか)と風変わりな名であったので、その名に興味を持って一度山頂を踏んでみたくなった。地図を見ると三方からコースがあり、ごく簡単に山頂に立てそうだった。向かったのは2017年の新年早々だった。加西市の中心部まで来ると、市役所の駐車場に入った。市役所に用の無い人の駐車は遠慮下さいとあったが、まだ正月三が日とあって市役所は休みでもあり、遠慮しながら閑散とした駐車場の一角に車をとめた。南には見上げるようにして加西病院が眺められたが、その左手の丘に点名・万頭塚の三角点があるはずだった。その丘には向かわず、まずは逆方向に向かった。「北条」の地図を見ると、市役所の一角にも三角点記号が付いていたので、それを探すことにした。北東へと歩いて市役所の裏手に回ると、あっさり四等三角点(点名・横尾)を芝生の中に見た。そこより改めて加西病院を目指して歩き始めた。病院は間近に見えており、適当に歩くと自然と病院に通じる車道に入った。病院は丘に建っているとあって、加西市の町並みが見下ろす形で眺められた。病院の敷地に入ると病院の裏手に向かった。丘のピークに通じる小径がそちらから始まっているはずだった。その位置は職員駐車場になっており、そこに入って尾根端に着いたものの小径は見当たらなかった。それでもそのうちに出会えるだろうと、雑木のヤブに分け入った。その思っていた通りに、少し登ると尾根道らしき踏み跡を辿るようになった。どこから始まっていたのか気になってその小径を引き返してみると、やはり職員駐車場からだったが、入口はすっかりヤブになっていた。尾根道を山頂方向へと辿って行くと、すぐにはっきりとした道となった。周囲は雑木林で優しい雰囲気を作っていた。更にその先で遊歩道に合流した。もうすっかり散策路だった。その雰囲気のまま山頂に着いた。そしてそこに見たのは「向山」の名だった。どうやら地元では向山と呼ばれているようだった。案内標識を見ると地元の里山の会がこの山の整備を進めているようで、遊歩道が2コースあるようだった。その整備のおかげで山頂は素晴らしい展望地になっていた。足下には加西の住宅地、遠くは笠形山に西光寺山が見えており、飽きない眺めだった。ベンチも置かれており、その景色を眺めながら休めるようになっていた。他にも山頂の一角では小さな祠もあり、すっかり良い雰囲気の山頂になっていた。その向山からの下山は、市役所方向へ向かえそうな遊歩道を下って行くことにした。往路の途中で出会った遊歩道で、北へと下って行くと小山だけあってすぐに麓に着いた。その登山口辺りも公園になっており、どうも山全体で公園化が進められているようだった。それを期待して駐車場へと戻って行った。
(2017/1記)(2020/4改訂)(2024/5写真改訂) |