京見山にトンガリ山、白毛山はあまりに身近すぎて、単なる散歩用の丘ぐらいの気持ちで接しているが、視界のくっきりとした日は山上展望を楽しみに気分新たに登ってみたくなることもあって、山としては悪くない。この東西に並ぶ三つの山だが、京見山と白毛山は遠くからでもその姿はよく分かるのだが、トンガリ山は白毛山のそばにあって単なる一ピークにしか見えない。そのトンガリ山は地元では単に「才の山」ぐらいにしか呼んでいなかったのだが、いつの頃からかトンガリ山と標識が付けられ、山頂も整備されてベンチも置かれるようになった。そして「はりま歴史の山ハイキング」にも京見山の項で紹介されたことで、地元の人以外も訪れるようになってきたようである。
2008年2月17日は兵庫北部こそ雪模様だったが、播磨沿岸部は良い天気だった。夕方になってその空は一段とくっきりとしてきたようだった。その空を見て裏山の京見山に登ることにしたが、ちょっとバリエーションルートで登ろうと、トンガリ山経由で登ることを思い付いた。トンガリ山へ最短で登るには才天満神社からのコースとなる。夢前中学校の西隣にある才天満神社に着くと、もう16時を回っており、光は夕暮れの色を帯びていた。神社境内の東隅に登山口があり、ごく普通に山道が始まっている。このコースはトンガリ山のピークに向かって急斜面を一気に登るもので、たしか40年ほど前に山火事があったと記憶するが、それ以後はめぼしい樹木が育っておらず、露岩地が多くあって絶好の展望コースである。始めこそ雑木があったが、すぐに木々が切れて足下に風景が広がり出した。まず夢前中学校の校庭が大きく見え、次第に広畑の街並みが広がってきた。そして沿岸部の工業地帯、瀬戸内海と風景が更に広がってきた。視界が澄んでいる上に夕方の光とあって、見るもの総てが鮮やかさを持って眺められた。足下の露岩は足がかりが良く、またそこには目印もあってただそれを追うように登って行くだけだった。そして左手に京見山が見えて来ると、もうトンガリ山のピークが目の前に迫って来た。これぐらい低山だとこの急斜面登りでほど良く汗をかいたと思ったときが山頂だった。足を止めると冷たい空気が快かった。そして改めて山頂からの展望を楽しんだ。視界が澄んでいると何となく得をした気分になるのが面白い。汗もしずまったところで京見山に向かうことにした。このトンガリ山から京見山へは始めに白毛山へと向かうことになり、途中で才コースが分かれたとき、その才コースに入ることで京見山に向かう形となる。薄暗さの出てきたトンガリ山を後にして京見山経由で自宅へと戻って行った。
(2008/2記)(2010/2改訂)(2021/5写真改訂) |