トンガリ山を中心に山火事が起きて、京見山の東側から白毛山の近くまで広く焼けたのは2011年4月の始めだった。その直後からぽつぽつとササの新芽が現れ出していたが、6月に入ると遠目でも山が青くなってきたのが分かった。そこでどのような変化をしているのかと、間近で眺めたくなった。
向かったのは6月の第三土曜日となる18日だった。今にも雨の降りそうな空を見て、近場の山で過ごそうと考えたとき、トンガリ山の様子を見たくなったものである。山火事の起きた12日後にトンガリ山を訪れたときは、トンガリ山だけでなく、京見山から白毛山まで広く歩いたが、この日は山火事跡への興味だったので、トンガリ山だけを登ることにした。南麓の才天満神社の登山口から登り始める。少し登ると山火事跡となったが、そこはササで青々としていた。1メートル以上に育っているものもあり、ササにとっては山火事は野焼き効果があったようだった。そのササに混じってワラビも多く目に付いた。これまであまり見かけなかったのだが、やはり地下茎を持つ植物は生命力が強いようだった。登るうちに勢いよく育つ灌木も現れた。立木の多くは黒々と焼けた姿だったが、その根元から新しい芽が伸び出しているものもあった。登るうちに小雨が降り出した。背後を振り返ると、広畑の町は薄モヤに包まれていた。小雨の中をトンガリ山のピークに着いた。ここで昼食とする。山頂一帯もササですっかり青々としていた。その辺りが一番火の勢いが強かった所のはずで、一帯の木々は黒く焼けた姿のままだったが、頂上の位置は元々裸地であったために火がさほど回らなかったのか、木々の中には新しい葉を付けているものがあった。焼かれずに残っていた芽が若葉となったものだろう。小雨の山頂から京見山を見ると、そちらはガスがかかっていた。昼食を済ませると、一度白毛山の方向に歩いて、その途中から東展望台への近道コースに入った。そして泣き坂峠経由で才登山口へと下りて、この日のミニハイキングを終了とした。山の様子は下の写真で見ていただく方が分かり易いので、詳しいことは書かないが、概ね陽当たりの良い所ではササが育っており、陽当たりの悪い所は山火事直後とあまり変化は無く黒焦げの地肌が広がっていた。今後は焼かれているものの根がしっかり張っている木々がどのような変化をするのかと、そちらへの興味が湧いてきた。今後も長い目でトンガリ山の変化を観察していきたいと思いながら登山口を後にした。
(2011/6記)(2021/5改訂) |