加古川市の北部、小野市に近い所に権現ダムがあるが、その権現第一ダムの西岸に立って東の山並みを眺めると、ダムから南東方向にお椀を伏せたような丸い山と、同じく丸いながらも少し三角形の形をした山が並んでいるのが見える。どちらも160m台の山で、天坊山の方が古墳の山として有名である。この二つの山に05年の5月連休中に訪れたのだが、どこから取り付こうかと少し迷った。持っていた地図は古く、西麓のクリーンセンターが記されていなかった。ともかく天坊山の西側から取り付いてみてはと考え、クリーンセンターの南側に近づいてみた。そこはクリーンセンターに隣接して田畑が広がっていたが、一角より天坊山の方向に舗装路が延びていた。但し入口にはクサリが張られている。その近くに車を止めることにした。車道を登り出すと遊歩道も見られたので、その遊歩道を登って行くことにした。すると程なく天坊山に向かう尾根道に合流した。その尾根道は新しく作られたというか整備し直されたと思える道で、地肌が広くむき出しになっていた。また一帯は一度伐採が行われ、その後、新たに植樹したようで、低木しか見られなかった。ともかく尾根道に着いたので、後はそれを辿るのみだった。次第に本来の山道の雰囲気になり、傾斜がきつくなると周囲の風景も眺められるようになった。足元には長池、その南側には加古川市街が広がる風景だった。山頂が近づいてきた頃、マイクロウェーブ反射板に着いた。そこも好展望地で、南の風景を一段高く眺めることになった。そこよりほんの僅か登った所が天坊山山頂だった。そこには天坊山1号古墳があり、説明板も立てられていた。そこからの展望は東から南東方向が開けており、加古川の流れとその流域の家並みに田園と言った印南野の風景が広がっていた。次は丸山を目指す。適度な尾根道が丸山方向へと続いていたが、丸山の山頂手前に送電塔が見えており、また道の様子からして尾根道はどうやら巡視路のようだった。まずは丸山との鞍部へと下るのだが、北の展望も現れて、小野アルプスが望まれた。鞍部では道が枝分かれしており、北東に見える送電塔への道のようだった。丸山への道を辿って行く。上り坂となって程なく[No.9]鉄塔に着いた。そこからは今来た方向となる天坊山から南西にかけての眺めが広がっていた。すぐに鉄塔を離れて丸山山頂を目指す。やはり尾根道は巡視路だったようで、その先は急に荒れ気味の小径となった。灌木ヤブの中を細々と小径が続いていた。そして着いた丸山山頂は三等三角点(点名・丸ヶ山)があるとは言え、もう灌木林のまっただ中で、ごく普通のヤブ山低山と言った風情だった。すぐに引き返して[No.9]鉄塔のもとで一息を入れた。この日は丸山山頂に立つまでを一応の目安としていたのだが、この山域よりぜひ小野アルプスを眺めたくなった。そこで北東に見える小さな尾根上の[No.10]鉄塔まで向かうことにした。天坊山との鞍部まで戻り、そこより北へと枝分かれしている巡視路に入った。そして目指す尾根へと向かった。その尾根に出てみると、意外と木々が道を囲んでおり、尾根からはすっきりとした展望は得られなかった。[No.10]鉄塔まで歩いてみたが、そこも同様だった。あきらめて引き返すことにしたが、その尾根の途中で木々の空いた所があり、手頃な木に登ってみた。すると漸く期待通りに小野アルプスの核心部を眺めることが出来た。本当にすっきりとした展望を得るのはなかなか難しいものである。それにしてもこの山域は巡視路に恵まれて、軽い散策に適していると思えた。幾つかの尾根道を組み合わせれば、バリエーションルートも出来て面白そうである。その後は天坊山に戻り、そして南の方向へと尾根道を忠実に辿って行った。すると上原集落から長池へと通じる道に下り着き、後は上原集落を抜けて駐車地点へと戻って行った。
(2001/11記)(2011/5改訂)(2022/3写真改訂) |