加西市の有名山となれば鎌倉山だろうが、市街地に近い山となれば、加西市ランドマークタワーの建つ西山ではと思われる。ただ西山の名では無く、単にランドマークタワーの建つ丘ぐらいの認識かと思われるが、麓から見ると立派な低山である。この山頂までは「いこいの村はりま」から遊歩道が作られており、また東隣りの亀山にも遊歩道が作られて、二つの山をセットでハイキング出来るようになっている。このごく気楽なハイキングを楽しもうと出かけたのは、2011年1月の最終土曜日だった。冬は北の天気が思わしくない日が多くなり、どうしても南部の低山を目指すことになるが、加西市の低山も良いのではと出かけたものである。先に二つの山を遠くから眺めたいと、玉丘史跡公園に立ち寄ったが、そこから歩き出すのも悪くないと思って、公園の駐車場に車を止めたままにして、歩き出した。前方に加西市ランドマークタワーが見えているので、その方向に向かうだけだった。上空に薄雲が広がっているものの、青空を隠すほどでも無く、まずまずの晴れと言えた。ただ北風が少し強く吹いており、風は冷たかった。玉丘交差点を右折して玉丘観音堂の方向に歩く。そばの小さなため池は氷が張っていたので、やはり寒い日と言えたが、風を受けないときは陽射しがあるだけに、まずまずの暖かさだった。観音堂を覗いた後、「いこいの村はりま」への道に入った。右手に現れた大きなため池は逆池だった。ハイキングはごく簡単なので急ぐ必要は無く、逆池に浮かぶ白鳥を見たりしながら、正面に見える亀山に近づいた。山裾に着くと案内板があり、遊歩道が縦横に付いているのが分かった。そのそばからNo.5と書かれた遊歩道が始まっていた。まずはその道で亀山に向かうことにした。始めにコンクリート舗装があり、すぐに地道に替わった。その道は白っぽい色で続いており、削り面が荒々しく見えるのは、作られてからまだ年月が経っていないためかと思われた。樹相としては目立つものは無く、陽射しに明るい遊歩道をゆっくりと登って行った。途中に小さな東屋があり、そこまで来ると南へ広く展望が得られるようになった。風の強い日とあって視界は悪くないようで、善防山、笠松山がくっきりと見えていた。そして登山口から10分も歩けば山頂に着いてしまった。まさに散歩の山だった。山頂は平らに裸地が広がっており、その一角に亀山古墳があった。その山頂に着いて、風を一気に受けるようになった。その風は冷たかったが、気温としては10℃ほどあり、風の冷たさほど低くは無かった。その山頂に目立った木は無く、展望は良かった。南だけで無く、北には鎌倉山の尾根も眺められたが、どうせ展望を楽しむのならランドマークタワーでと、長居をせずに亀山の山頂を離れた。この亀山には登ってきた南からのコース以外にも北からも西からも道があり、西への道に入る。やはり遊歩道で歩き易い。やけに目立つランドマークタワーへとゆっくり下ってゆっくり登り返す。ランドマークタワーが近づくと別の遊歩道と合流したが、体育センターの方から来ているようで、そちらが西山へのメインコースと言えそうだった。遊歩道は丸太の階段道となって山頂へと近づいた。そしてランドマークタワーに付けられた根日女(ねひめ)のイラストを正面に見ながら山頂に着いた。そこは標高172mのピーク。地図を見ると、そこより西に178mのピークがあるので、尾根として見れば単なる中間点のピークと言えそうだったが、ランドマークタワーが建ったことで、尾根の盟主になってしまったようである。ランドマークタワーの周囲は樹林が囲んでいるので、下にいる限りは展望は無かった。さっそくランドマークタワーに上がることにした。螺旋階段をぐるぐると何周も回って上がる。タワーは1998年に作られたもので、高さは20mとのこと。最上部を山頂と見れば標高192mとなって、周囲に200mを越える山が無いだけに、堂々とした盟主と言えそうだった。タワーの最上部に出ると、一段と強い風を受けた。その風の冷たさに身を切られる思いだったが、そこにはまさに360度の絶景が広がっていた。東に西に、北に南にと、遮るものの無い展望は見事の一言だった。足下に加西市街が広がっているだけでなく、北に笠形山、西に七種山の尾根も眺められて、風の冷たさに負けずと、暫しときを忘れて展望を楽しんだ。但しパートナーは風の冷たさに早々と退散して下りてしまったが。そのタワーの屋上を、小さな子供を連れた若い母親が上がって来たのと入れ替わるように下りた。ランドマークタワーのそばには小さな広場があり、ベンチも置かれていた。周囲は林なので風は来ず、陽射しが暖かかった。そこにパートナーが先に来て昼食をとっていた。こちらも昼休憩とする。陽射しの暖かさにもう一度タワーの屋上に上がる気にはなれず、下山とする。少し下って亀山への道との分岐点より、体育センターに通じる遊歩道に入った。やはりこちらがメインコースのようで、少し幅広い遊歩道として登山口まで緩やかに続いていた。本当にごく低山なので、10分ほどで麓に下り着いた。ランドマークタワーの展望は素晴らしかったが、ハイキングとなると亀山、西山だけでは少な過ぎるようで、逆池周遊や、果樹園散策を組み合わせてちょうど良いのではと、園内の案内図を眺めて思った。ただこの日はランドマークタワーの展望を気持ちのピークとしたく、「いこいの村はりま」でのハイキングは終えることにした。後は少し離れた玉丘史跡公園の駐車場へと戻って行った。
(2011/3記)(2020/7改訂) |