春先は黄砂があったり、黄砂が無くとも春がすみで薄ぼんやりとした視界の日が多くあるものだが、2007年3月の第二日曜日は、見るもの総てが美しく見える素晴らしい視界の日だった。それも午前は前夜の雨の影響で雲の広がることもあったが、午後に入って青空が広がり快晴となった。その空を見てはじっとしておれず、近くの低山でも登ろうと家を飛び出した。向かったのがこの宮山で、山頂から相生の町並みを眺めるのも悪く無いのではと思いついたものである。自宅から相生市街までは抜け道ルートを使うと30分とかからない。ハイキング後の買い物も考えて、車は海に近いイオンタウンの駐車場に止めた。そこから登山道の始まる那波八幡神社までは700mと離れていなかった。那波八幡神社の左脇の高台に上がると墓地があり、墓地の縁を通る小径が自然と山に向かって行った。始めは雑木に囲まれたごく普通の山道だったが、すぐに露岩地が現れた。滑ることの無い岩肌は登る楽しさがあり、好きな所を登って行けた。露岩地は繰り返し現れ、登るほどに足元に相生の町並みが広がって来た。そしてそれを取り巻く山並みもすっきり見えて来た。気温は10℃を越える程度と少し低めだったが、登るには都合よく一気に登って山頂に出た。その山頂には冷たい風が吹いており、一気に身体を冷やされたが、風の冷たさよりも山頂からの素晴らしい展望に目を奪われた。普通なら午後の光は風景を平板に見せるものだが、この日は空気が澄み切って透明感があり、見るもの総てが鮮やかに見えていた。この山頂展望を楽しんで終わりとしたいところだが、宮山は少々小さすぎて山頂までの時間は15分ほどと、これでは足慣らし程度の登山だった。そこで今少し歩きたく、尾根道の続いていることもあって北隣の150mピークまで足を延ばすことにした。その道はシダこそ目立つものの、ごく普通の小径の風情で続いていた。そして6,7分も歩けば着いてしまった。そちらは灌木が茂って展望は良いとは言えなかったが、それでも相生市の北を限る山並みが眺められた。その後は引き返して再び宮山山頂に立ち、そして相生の町を眺めながら露岩地の尾根をのんびりと戻って行った。下山後は海岸通りを歩いたり、中央公園を散策したり、そして道の駅「あいおい白龍城」に立ち寄ったりと、ちょっとした旅行気分で相生の町を楽しんだ。
(2007/3記)(2012/5改訂)(2022/11写真改訂) |