標高が200メートルに満たない山は、登る時間が短過ぎてハイキングの対象にはなり難いが、山頂展望があるとなると、昼食がてらに散歩気分で訪れるのが相応しいかと思える。その考えで太子町の上太田集落の北に位置する馬山を訪れた。空は快晴だったが風の強い日で、身を切られるような冷たさがあった。馬山の登山道は南西尾根に付いており、その尾根端には王子神社が建っている。その神社のそばの駐車スペースに車を止めて石段を登り始めた。とにかく風が冷たく、山頂でもこの風を受けるようであれば、昼食にはちょっと厳しいのではと思われた。王子神社は大ぶりの祠と呼べそうな小さな神社で、境内も狭かった。その境内の東の位置より、注意しなければ見過ごしそうな尾根道が始まっていた。尾根はごく緩やかで、散歩と言っても良さそうだったが、季節がら落ち葉が積もっており、これがけっこう滑り易くなっていた。始めは雑然とした雑木林だったが、すぐに竹林を歩くようになった。太い竹で、タケノコの季節は通行禁止になるのかも知れなかった。その竹林も程なく終わり、後はまた雑木の尾根を歩くようになったが、小径ははっきりとしてきた。少し傾斜のきつくなる所もあったが、山道と考えるとごく普通のもので、相変わらず易しく登れた。助かったのは登るほどに風が弱くなってきたことで、じんわりと汗もかくようになった。そして山頂が近づいたとき共同アンテナが現れ、そこより5分ほどで山頂に着いた。麓からでも20分とかからなかったので、やはり馬山はごく小さな山である。山頂も風は弱く、安心してガスコンロをセットした。この日の視界は最高で、西の揖龍アルプスがくっきりと鮮やかに見えていた。瀬戸内海の島々も逆光の中にはっきりと見えている。山頂は少し寒い程度で過ごせたうえに展望にも恵まれて、やはりアウトドアは楽しいと思いながらゆっくりと昼どきを楽しんだ。
(2009/1記)(2020/9改訂) |