姫路市内には200mに満たない小山が幾つもあるが、その中にも三角点を持つものをちらほら見かける。国道29号線を青山から北西へと走っていると、長池の辺りで北に小山が間近に迫ってくるが、そのピークにも三角点があり、点名は伯母山と、ちょっと注意を惹く名が付いている。正しい山名は知らないが、その辺りの字(あざな)が伯母山であることから、伯母山と呼んでも良さそうに思える。標高は179mであり、登る気になれば登れる山だったが、周囲から目立つ山でも無かったので、気にはなっていたが、登らないままに過ごしてしまっていた。その伯母山を急な思い付きで登ることになった。
2012年3月10日のことだったが、曇りがちな空だった上に予期せぬパソコンのトラブルが起きたこともあり、ちょっと出そびれてしまった。天気は昼を過ぎてもあまり変わらなかったが、一日を家の中で過ごすのは精神衛生上良くないため、気晴らしに近くの山を登ることにした。天気を気にせず短時間で登れる山はと考え出したとき、急にまだ登っていない山を登りたくなった。そこで「姫路北部」の地図を見て、伯母山を登ることを思い付いたものである。市街地に近い山で問題になるのは駐車場所だった。県道5号線を走って長池交差点から国道29号線に入ると、後は伯母山の裾野を左手に見て東へと走った。次の長池東交差点で再び県道5号線に入ると、すぐに北への道が分かれた。その分岐点が伯母山から南東に延びる尾根の起点となるが、その尾根に車道が付いていた。車道に入れば駐車地点が現れるだろうかと思いながらその坂道を登ると、ごくわずかな距離で広々とした駐車場が現れた。その先にパチンコ店が見えており、駐車場はパチンコ店のものだった。格好の駐車場所だったが、パチンコに来た訳でもないので、建物から一番離れた位置に遠慮しながら駐車とした。目の前が尾根端で、その辺りは木立が疎らになっており、楽々と取り付けた。しかも尾根には細々とながら小径が付いていた。目印テープも目に付いた。これは楽だとばかりに歩き始めた。小径ははっきりしないこともあったが、尾根は緩やかなために、無理なく登って行く。登るうちに露岩が見られるようになり、また南の方向に展望も現れてきた。そちらは国道29号線と姫新線が走っており、鷹山の尾根が対峙していた。北には木立を通して山頂も眺められた。尾根は平坦になっていっそう歩き易くなり、このまま山頂まで楽に歩けるのではと思え出した頃から、少しヤブっぽくなってきた。尾根の小径がはっきりしなくなり、シダヤブが現れたり、灌木ヤブが現れた。シダヤブではその縁を歩き、灌木ヤブは出来るだけ疎らになった所を探して進んだ。南東尾根が北へと折れても、相変わらず軽いヤブコギは続いた。ただ尾根はごく緩やかなため、足取りは軽かった。山頂が近づいて尾根の傾斜が増したが、少し登って西尾根と合流すると、また緩やかになった。合流店から東へ数十メートルほど歩いた所が山頂だった。ヤブコギを始めてから展望は悪くなっていたが、山頂も雑木に囲まれており、展望は良いとは言えなかった。また空も再び曇り空に戻っており、風もあって薄ら寒い雰囲気だった。ただ露岩があって、休む所としては悪くなかった。一休みした後は、少し展望を探ることにした。木立が疎らになった所がちらほらあり、そこからは北東に書写山、東の方向遠くには高御位山、南西遠くには御津山脈まで眺められて、少しは展望を楽しめた。下山は歩いてきたコースを引き返す。この復路では、尾根が南方向から南東方向へと折れる位置で、南端に立ってみた。そこは広く露岩地になっており、何となく山頂らしい雰囲気があって、南東から南西まで広く眺められた。その位置からは南東へと尾根を歩くのみ。途中まで少しヤブっぽかったが、小径を辿るようになると、すんなりと歩けるようになって、駐車地点まではもう気楽な散歩だった。この日の登山を振り返ると、コースさえ今少し整備されれば、露岩地を歩く面白さと展望の良さがあるので、尾根が緩やかなことでもあり、適度な散策路になるのにと思われた。
(2012/4記)(2020/7改訂) |