権現池のそばに立つ権現山は湖岸道路との標高差は150mでしかないので、権現山だけを登るのであれば物足りないだろうと思えて、その先の志方城山までの縦走を計画した。向かったのは2016年8月最初の土曜日のことだった。但し自宅を出るのが遅くなり、権現池の西岸に着いたときは12時前になっていた。朝から強い陽射しがあり、気温はすでに30℃を越えていた。西岸道路の適当な木陰に車を止めて歩き出した。権現山へのコースは知らなかったが、湖岸道路を歩くうちに見つかるだろうと南に向かって歩いた。山頂への最短距離となる辺りまで来ると、山裾に目印テープを見た。そこから細々とながら小径も始まっていた。それがコースと思えて、すぐに山裾に取り付いた。急斜面を登るため、足下に注意しながらだった。始めは樹林の中だったので、暑さはあまり気にならなかったが、程なく陽射しの下に出ることになり、一気に強い陽射しを受けることになった。温度計は35℃を示しており、猛暑と言えた。おまけにコースがヤブっぽくなってきた。それと共に蜘蛛の巣も増えて、それを払い除けながら歩くことになった。けっこう厳しい登りとなったが、背後には権現池の風景が眺められるようになった。登るほどにすっかりヤブコギ状態となったが、小径は続いていた。急坂を登りきると山頂かと思ったが、権現山の山頂は東西に長くなっており、着いた位置は東端だった。三角点ピークまでは緩く下って緩く登り返すことになった。笹ヤブと蜘蛛の巣が続いた。その頃には暑さにやられたのか、バテ気味になっていた。そして大汗だった。最高点と思える所に着くと、そこに四等三角点(点名・権現山)を見た。山頂に着いたようである。斜面に取り付いてから30分だった。僅かな時間だったにも拘わらず、もうけっこう疲れており、山頂の木陰に思わず倒れ込んだ。そしてそのまま暫くじっとしていた。体力が戻ったところで昼食としたが、志方城山まで歩く気持ちは消えていた。昼食を済ませると、再び横になって昼寝とした。権現山の山頂は樹林に包まれており、展望は無いように見えたが、昼寝の後に少し尾根を歩いてみると、木々の疎らな所が現れた。そこで手頃な木に登ってみたところ、けっこう周囲が眺められた。東に志方城山を、南に飯盛山が望めた。展望を楽しんだ後は下山に移った。心は少し敗退の気持ちだった。それも東斜面を下り出して、前方に権現池の風景が現れると消えてしまった。足下には権現池を、そしてその背後に小野アルプスの姿を眺めていると、登って良かったとの思いになった。駐車地点に戻ってきたのは14時。山頂での休憩を除くと一時間だけの権現山ハイキングだったが、猛暑の中で十分に汗をかけたことに満足の思いになれたのは良かった。
(2016/8記)(2020/4改訂) |