2010年の最後の山は赤穂の山でと、大晦日に向かったのは岡山県との県境にある石粉山だった。その石粉山は展望の良い山で、360度の眺望を楽しめた。但し、海が見える山では無かった。その石粉山は登山としては簡単な部類に入り、11時を過ぎた時間に下山を終えてしまった。そこで昼休みを別の山でと考えたとき、海の見える山でしたいと思った。ごく簡単に海を間近に見る山として、また2010年の本当の最後の山として向かったのが向山だった。この山には一月にも登っていたが、そのときと同じく北の峠の位置にある瀬戸内ホームから始まるコースを歩いて、ごく簡単に済ますことにした。朝は青空の広がる空だったが、昼となって北の空から雪雲が流れてきており、薄曇りの空に変わっていた。歩き始めると、やはり簡単な山で20分で山頂に着くことになったが、一月と比べると登山道はいくぶんヤブっぽくなっており、途中何度かイバラにひっかかれた。その登山道よりも大きく変わっていたのが山頂だった。一月に来たときは、けっこう木立が展望を妨げており、坂越湾の方向こそ良く見えていたが、瀬戸内の方向は良いとは言えなかった。それがこの10ヶ月ほどの間に山頂の木立がかなり切られており、すっきりとした山頂に変わっていた。山頂からは赤穂の町並みとその背後の尾根。そして瀬戸に浮かぶ家島諸島に小豆島が一望だった。この山を再訪した別の理由として、一月のときは薄ぼんやりとした視界が残念だったことだったが、それも叶えられたようで、この日の視界はくっきりとしていた。その上、穏やかな山頂なら文句なしだったのだが、山頂には冷たい風が吹いていた。北西から強い風で、それを我慢しながらの昼食だった。それでも海を眺めてのひとときは、やはり山の上は良いものだの思いを十分に感じさせてくれた。下山はすんなりと引き返すのみ。20分ほどでの下山はほんの散歩と言えそうだったが、これで2010年の登山は終了となり、もう頭の中は新たな年のことに思いを巡らせていた。
(2010/12記)(2020/7改訂) |