福崎町の東に位置する飯盛山は、その名のごとく飯を盛り上げたようなこんもりとした姿をしている。高さは200mに満たなく、更に麓(登山口)との標高差は100mほどしかない。この低山に残暑のきびしい2004年9月18日に訪れた。播但道を船津ICで下り、東の方向に見える飯盛山を目指して行くと、自然と登山口に近い集会所の前に出た。そして集会所の近くにあった駐車場に車を止めた。上空は全くの曇天で雨雲も見られた。南からの湿った空気でひたすら蒸し暑かった。その駐車場を離れて飯盛山への道を進むと、すぐに広いグラウンドのそばに出た。その脇より登山道が始まっていた。おおむね階段道が続いており、道は途中で二手に分かれた。一つは春日山キャンプ場に向かう道なので、もう一つの山頂への道を辿って行く。その階段道は急坂となり、歩き始めて10分ほどでもう山頂だった。ただこの10分でびっしょりと汗をかいてしまった。山頂は平らに開けており、ベンチも置かれてちょっとした休憩地になっていた。そして標識があって、この山頂にあった春日山城の由来が記されていた。戦国期に秀吉に落城されるまで二百数十年ほどの歴史があったとか。なるほど城跡として見れば、交通の要衝であることでもあり、それらしき雰囲気も伝わってきた。この山頂に出てうれしかったのは、涼しげな風があったことで、すっかり秋風を思わせる風はひたすら涼しかった。ただときおりしか吹いて来ず、風が止むと途端に厳しい蒸し暑さが襲ってきた。気温は33℃を指していた。この山頂の展望はというと、城跡を取り巻くように周囲は木々が繁っており、南の方向を除いては良いとは言えなかった。その南の方向では広く市川流域が眺められたのだが、この日の視界は空同様、どんよりとひどいモヤだった。近くの山さえうっすらとしか見えていなかった。それでも山頂では昼食をとって一時間ばかり休んでいた。この暑さでは、当然ほかに訪れてくる人はいなかった。下山は、別の道が見えたので、それを歩くことにした。北西から西へと向かう小径で、こちらは階段状のところはほとんど無く、自然な歩みで下りて行くことが出来た。そしてこの途中で、シバグリがいっぱい落ちているのに出会った。暑さは厳しいが、季節は確実に秋を迎えているようだった。この道を下りきると西邦寺の前に出たが、そこは駐車地点とはさほど離れていなかった。
(2004/11記)(2016/9改訂)(2018/12写真改訂) |