JR有年駅から南へは県道457号線を走って周世地区に出られるが、その県道を挟む西尾根は「赤穂ふれあいの森」としてハイキングコースが整備されている。コース中の主な山は北から三重山、川向山、高雄山、御蔵山とあり、歩きたい距離で色々な組み合わせが出来るので、しっかり歩きたいコースや簡単なコースと選択が出来る山域だった。その中の三重山だけに絞って登ろうと向かったのは、2023年3月中旬の快晴の日だった。本来は二山以上を組み合わせれば面白いのだが、三重山だけとしたのは、単純に散歩登山として山頂で昼食をとりたいだけの理由からだった。三重山だけなら尾根上に建つ修験寺まで車を進めれば、数分の尾根歩きで山頂に立てるのだが、そこはハイキングの形にしたく麓から歩くことにした。その麓には山王神社があり、そこの境内に車を止めた。山王神社の前からは修験寺へと通じる車道が始まっており、案内標識も立っていた。山頂方向は鴾ヶ堂城跡とあり、鴾ヶ堂城跡は三重山山頂一帯のことだった。まずは車道歩きでスタートした。舗装林道を歩くと言った趣で坂道を登って行くと、中腹辺りにトイレ棟が建っていた。そのそばから枝道が分かれており、それは三重山への近道だった。枝道に入ると巻き道になっており、その巻き道の途中から尾根への小径が分かれた。標識が無ければ見落としそうな小径だった。そのやや急坂の小径を登って行く。当初は丸太の階段道として整備されていたのだが、すっかり朽ちていた。そのため単に落ち葉が積もる斜面になっていた。それも僅かな距離で尾根に出た。後は尾根を北へと歩いて鴾ヶ堂城跡である三重山の山頂に着いた。山頂には立派な三層の展望台が建っており、早速最上階に上がって展望を楽しんだ。足下には国道2号線とJR山陽線が走っており、また千種川もすぐ近くだった。物見の城として要衝の地に建っていたことが良く分かった。ひとしきり展望を楽しむと、展望台を下りて近くの露岩地で昼休憩とした。風はひんやりとしていたが、陽射しの快さが十分に補っていた。その三重山からの下山は、始めに南へと尾根を歩いて修験寺の前に出た。そこは広場になっており、車道の終点位置だった。修験寺の他にも管理棟が建っており、どうやら日中は解放されていて連絡をすれば使用出来るようだった。中を覗くと小ぎれいなフローリングの部屋となっていた。その管理棟だが張り紙を見ると、クマの目撃があったと書かれていた。こんな南部の山に熊が現れたとは信じがたいが、事実とあればどのようなルートを辿ったのか興味があった。その管理棟を後にすると、後は車道をひたすら歩いて麓へと戻った。修験寺から麓の山王神社まで17分の距離だった。
(2023/4記) |