何度か訪れた坂越尾崎遊歩道だが、北側の登山口までは歩いていなかった。そこで北側から歩いてみようと向かったのは、2025年6月の第二週、梅雨空が一休みして青空が広がる日だった。坂越の観光駐車場に10時25分に着くと、ほぼ満車状態で数台分しか空きスペースは無かった。駐車場を離れると、尾根の北端を通る車道に向かった。その車道は石畳になっており、両側の民家は坂越の美観地区だったので、すっかり観光地を歩いている雰囲気だった。通りを西端の位置まで歩くとバス停があり、そこから山裾道が分岐していた。その尾根の西側を通る山裾道を南へと進むと、左手の斜面は法面工事がされており、コンクリートで固められていた。その斜面を見ながら進むと坂越小学校が近くなり、賑やかな子供の声を聞くようになった。そして登山口が現れた。登山口には南側入口(丸山登山口)と同様に案内板が立っていた。登山口に入ると、遊歩道の名の通りに優しげな小径だった。程なく分岐点が現れて、八祖山への小径が分かれた。八祖山に立ち寄ろうと八祖山コースに入ると、そちらはすっかり笹ヤブ道になっていた。ほぼ道は隠されていたが、細々とした小径を辿って何とか八祖山のピークに立った。そこも笹が広がっており、周囲も樹林が囲んで展望は無かった。ピークの佇まいを眺めると遊歩道へと引き返した。遊歩道歩きに戻ると、緩やかな坂を登って尾根筋へと向かった。周囲の雑木林が優しげな風景を作っていた。尾根筋に出ると一段と緩やかな道となった。最初のピークが四等三角点(点名・西山)が置かれた西山だった。次の180mピークは無名だったが東屋が建っていた。昼が近くなっていたこともあり、東屋の中で昼休憩とした。東屋は涼しい風が通って、休むには良い所だった。東屋の位置からは東に展望があって、万葉岬や瀬戸の島々が眺められた。足下に見えていたのはアース製薬の赤穂工場だった。尾根歩きを続けると、次のピークが亀甲山で、その次が南宮山だった。ごく僅かな上り下りで、全くの遊歩道歩きだった。陽射しを受けると暑かったが、木陰は程良い涼しさがあって助かった。次の丸山へは50mほど下って60mほど登り返すことになった。丸山に着くと、そこでも東屋に入って小休止とした。尾根歩きは次の向山との鞍部までの予定だった。その鞍部までの標高差は100m以上あり、階段の下りが続いた。その途中で見晴台への小径が分かれたので、見晴台に立ち寄った。そこは赤穂市街を眺める展望台だった。階段道に戻って鞍部に着くと、後は車道歩きだった。東の海岸線に出る車道に入ると、50mほど下って県道32号線に合流した。そこからの県道歩きが長かった。坂越の駐車場までおおよそ4kmあり、漸く着いたと思えたアース製薬でもまだ中間地点で、その先では丘越えが待っていた。それでも海の風景を眺めることが多くあり、ずっと退屈と言うことは無かった。駐車場に着いたときは県道歩きに移ってから1時間が経っていた。すっかり足がくたびれてのゴールだった。
(2025/7記) |