低山の登山と紅葉狩りの両方を楽しもうと考えたとき、すっと鶏籠山と紅葉谷が思い浮かんだ。向かったのは2021年12月の最初の日のこと。終日晴れの予想だったが、朝の空は晴れとは言えるものの雲は多かった。そこで雲の減りそうな午後に入って出かけた。龍野公園に入ると、動物園前の駐車場に車を止めた。そこから車道を歩いて紅葉谷へと向かった。12月に入ったこともあり、車道の周囲の紅葉は盛りを過ぎたものが多かった。それが紅葉谷に着いてみると、まさに見頃を向かえていた。入口辺りは赤いカエデが多くあり、真っ赤な色付きを見せていた。それを暫し眺めた後、遊歩道に入った。その遊歩道を少し進むと、小さな沢に架かった小橋を渡って小径に入った。標識は無かったが、それは鶏籠山の山裾を巡る道だった。その小径を歩いて鶏籠山の南麓側に回り込むと、古城登山口の標識が現れた。後はそこから始まる大手道コースの登山道を登った。やや急坂に古びた丸太の階段道が続いていた。ときに階段は途切れたが、ゆっくり登る分には問題なかった。その鶏籠山は常緑樹が多いとあって紅葉とは無縁の登りだった。山全体が城跡であり、土塁跡など城跡を示す標識を見た。ほぼ山頂に近い高さまで登ったとき、平らに開けた所に出た。そこは二の丸跡で、山頂は木々を通して今少し先に見えていた。その二ノ丸に着いた頃より冷たい風を受けるようになった。そのため二ノ丸では休憩をとらず山頂を目指した。山頂に着いたときは紅葉谷の入口から30分が経っていた。山頂も冷たい風があり、のんびり休むとはいかなかった。山頂で城跡の雰囲気を味わうと下山に移った。下山は北へと両見坂に通じる尾根道に入った。両見坂に下りてくると、後は紅葉谷の遊歩道歩きだった。そして紅葉狩りを楽しむことになった。紅葉谷のカエデは高木が多く、目線を下げていると紅葉はさほどでもないように思われたが、目線を上げて頭上に目を向けると、色鮮やかな紅葉にはっとすることが何度もあった。そのため牛歩の歩みでごくゆっくりと遊歩道を下った。下るほどに紅葉のカエデは増えてきた。最良のときに来たことを感謝しながら紅葉谷の入口に近づいた。
(2021/12記) |