国道29号線を姫路市飾西から西に向かっていると、石倉に近づいたときに真正面に小ぶりながら三角錐の形の良い山が見えてくる。それが大谷山(登山前はその名を知らなかったが)だったが、地図を眺めると、どうも東南麓の石切八社主神社から山道が有りそうに思えた。そこで大谷山を2003年1月半ばの好日に訪れた。その東南麓へと車を近づけると、古びた鳥居があって、その近くに駐車スペースが見えたのでそこに駐車とした。鳥居を潜り古びた石段を登って行くと、朽ちかけたお堂に出会った。それが石切八社主神社かと思われたが、そこには他にも小さな祠も見え、一帯の様子では神社なのかお寺なのかはっきりせず、神仏混淆になっているように思えた。そのそばから幅広の山道が始まっていた。参道と言っても良さそうなほどの歩き易い道で、緩やかに続いていた。所々には石仏も置かれて、信仰の山として大切にされているようだった。気楽に登って中腹を過ぎた所で、露岩の展望地に出た。東を見ると国道29号線が見えており、その右手に山陽自動車道、そしてそれを取り巻く山並みが見渡せた。登る前はヤブ山を想定していただけに、こんなに気楽に登れて展望も良いとはと、意外な思いだった。ただその露岩地を過ぎると急に細道となり、周囲に雑木が迫って少々ヤブっぽくなって来た。ただ目印があり、踏み跡ははっきりしていたため、小径を外れることは無かった。その途中でまた露岩地が現れ、先ほどよりも更に広々とした展望が得られた。南西方向には鷹の子山も見えていた。その後は道が不確かになったりシダヤブがあったりと、少し険しくなってきたが、それでも小さな山なので特に無理することも無く山頂に立てた。山頂には四等三角点(点名・観音寺)が置かれており、周囲を灌木に囲まれているものの、陽射しが当たってほんわかムードと言うのか、休憩するには悪くない雰囲気があった。また少しだが展望もあって鷹の子山の方向が開けていた。また北東にはトンガリ山の頂上も見えていた。この日は早春とも言える柔らかな陽射しがあり、瀬戸内の暖かさを十分に味わいながら、山頂でのひとときを過ごした。
姿が良いだけでなく、こう気軽に山頂に着ける山とは思っていなかっただけに、下山後にこの山の名を知ろうと、麓にいた地元の人に尋ねてみた。数人に尋ねたのだが、かなりの年配の人でも知っていなかったのは意外だった。そこで図書館で調べたところ、郷土誌「おおいち」に幾つかの山が紹介されており、どうやら大谷山ではと推定さたので、大谷山と呼ぶことにしたものである。
(2003/1記)(2013/2改訂)(2023/7写真改訂) |