トンガリ山もガイドブック「はりま歴史の山ハイキング」に紹介され、また地元の森林組合によって登山道も整備されて、すっかりポピュラーな山に変わって来た。このトンガリ山を以前から峰相山と併せて登ろうと考えていたが、ガイドブックがちょうどそのようにコース紹介していたので、これを参考に登ることにした。実行したのは2004年11月のこと。姫路市内の山とあって、家でゆっくりと朝食をとってからでも、峯相大池の駐車場には8時過ぎに着くことが出来た。まだ辺りには朝の光が満ちており、紅葉を迎えた山肌を更に赤く染めていた。前回は取り付き地点を探すのに苦労して竹林の小径を適当に歩いたものだが、太市のタケノコとして有名になったことでもあるのか、竹林にはネットが張られて容易に近づけないようになっていた。また所有者の名が付けられた標識も立てられていた。そして登山口と言えば、駐車地点からほんの少し北に歩くだけで、大きく「神岩・大黒岩コース」と標識があって、一目で分かった。そして登り出してみると程よい昇り易さの山道で、親切にロープも付けられて快調に登って行けた。尾根に出て少し登ると、もう神岩に着いた。相変わらず展望の良い岩場で、南から西にかけて気持ちの良い眺めが広がっていた。この日の空は少し変わった空で、少しモヤがかっているような感じながら視界は意外とくっきりしていた。それも南の方角だけのようで、北はすっかり曇天で、遠方は全く見えていなかった。この神岩では一息入れただけで、すぐに山頂を目指した。前回は異常な蒸し暑さで、この登りですっかりバテたのだが、この日は少し肌寒いと思える程度で、登るのにはちょうど良い快さだった。山頂の手前にも神岩と名の付く展望の岩場があり、そこでも一休み。そして山頂へ。そこは地元の努力によるものか雑木が切られて、すっかり展望が良くなっていた。足元からすっきりと西の展望が開けていた。その山頂の中央は平らになっており、休むにも適した山頂らしい雰囲気だった。そして東の方向も少し下れば、すっきりと書写山が望まれた。他に誰もいない静かな山頂で、足元の国道29号線の流れを見ながらひとときを過ごした。それにしても登山道がはっきりしていると、こうも楽に登れるものかと改めて思わされた。そのトンガリ山のピークを離れて北へと歩いて行く。その頃になると空の雲が増え出して、ときおり日が雲に隠されるようになっていた。次のピークはトンガリ山のピークとはほんの目と鼻の先にあったが、そちらに三角点があった。その三角点の標高は256.7mなので、トンガリ山のピークとは1mほど低いことになる。その先は緩やかな尾根で、程良い山道が続いていた。道の周りは前日の雨で濡れたシダヤブが取り巻いていた。尾根道が無ければけっこう厳しさのある尾根と言えそうだった。そのシダも途切れると、辺りは紅葉期を迎えた雑木林となって、落ち着いた雰囲気が広がった。トンガリ山を離れて20分ほどで大黒岩の前に着いた。一見してその上に立てば最上の展望台と思えた。ただとっかかりの無さそうな大岩で、始めは松の木を使って登ろうと考えたが、意外とホールド感のある岩肌だったので、南側から取り付くと、ごく簡単に岩の上に立てた。そこは期待通りトンガリ山の山頂以上の展望台だった。西の風景は新龍アルプスなどトンガリ山で見えたのと変わらない風景だったが、この岩からは峰相山の山頂一帯がすっきり見えており、そしてその山肌が紅葉の見頃を迎えて美しい色合いになっていた。まだ朝の光とあって尾根には陰影があり、なかなか素晴らしい眺めだった。ただこの大岩に立った頃より上空に薄雲が広がり出して、陽射しの現れることが少なくなったのは残念だった。ときおり現れていた陽射しも無くなり、上空がほぼ曇り空に変わったのをしおどきに、大黒岩を離れることにした。曇り空だけで無く、周りの木々も濃くなって、少し薄暗い雰囲気で尾根歩きを続けた。ただ道は相変わらず歩き易く、散歩をしている感じだった。程なく道は山頂方向と上伊勢方向に分かれた。点名・伊勢にも寄りたく、ひとまず上伊勢方向に向かった。そこからは二度目のコースとなる。上伊勢への道は良かったのだが、三角点に通じる枝道に入ると、少しヤブっぽくなった。灌木の小枝を払いながら歩いていると、以前には無かった目印も付いていて考えることも無く三等三角点(点名・伊勢)に着いた。そこは雑木のまっただ中で、ただ単に三角点を確かめただけと言えそうだった。すぐに引き返した。そして峰相山山頂を目指した。全く雑木林をそぞろ歩きしているようなもので、ほぼ山頂に近い所で鶏足寺跡に出た。今は祠だけだが、いかにも寺院が建っていそうな雰囲気だった。そこより少し高くなったところが山頂だったが、その手前に地元の森林組合の立てた標識が無ければ見過ごしそうな山頂だった。そこもすっかり樹林に囲まれていたた。この日は午前しか時間がとれなかったため、山頂を踏んだことで下山することにした。方向は南の谷筋で、麓の観音堂を目指した。まず鶏足寺跡に引き返すが、その先より目印の付いた小径が始まっていた。もう少しはっきりした道と考えていたのだが、けもの道のようなもので、目印を頼りに下って行った。周囲に竹が増えて来ると、その竹が何カ所でも道に被さって、俄然ヤブコギのようになってしまった。目印とロープが無ければ道を外してしまいそうだったが、何とかそこを抜けると、荒れたままのお粗末な植林地に出た。ここで道は不確かになったが、植林地なので適当に下ると、問題なく観音堂(十一面観世音菩薩)の前に出た。このお堂の上に被さるように枝を伸ばしているモミジが、きれいに紅葉していた。もうそこからは車道を歩いて戻るだけである。10分も歩けば峯相大池の駐車場へと戻り着いた。すっかり曇り空になってしまったが、誰に会うこともなく静かなハイキングを終えることが出来た。
(2004/12記)(2011/4改訂)(2022/2改訂2) |