桶居山を簡単に登ろうとすれば、南西尾根なら20分ほどで山頂に立ててしまうが、南向かいの尾根をぐるりと巡って山頂に立つのも面白いのではと思い立って向かったのは、2020年5月の中旬、20日のことだった。そのスタート地点は現地で決めようと、南向かいの尾根の南西麓にある別所中池に来てみると、南岸側に10台以上は止められそうな駐車スペースを見たので、そこに車を止めて歩き出すことにした。目指す尾根は池の北岸側にあり、まずは池の土手道を歩いて北岸側に向かった。その土手は別所中池と別所新池を分ける土手で、土手を渡りきると用水路に架かる小橋があり、その先は期待通りに山道が始まっていた。登山口に入ると、その小径は送電経路の巡視路のようで、プラ階段になっている所もあり、すぐに送電塔(姫二火力線31番)が現れた。10分も登ればもう尾根に出た。後は北東方向へと尾根道を歩いて行くだけだった。尾根は緩やかとあって気楽な尾根歩きだった。尾根道も当然巡視路で、尾根状に点々と送電塔が建っているのが眺められた。送電経路は二つあり、尾根上の送電経路とは別に、尾根の北斜面側、僅かな距離をおいて別の送電経路が平行して走っていた。桶居山は今歩く尾根に対して北向かいにあり、尾根歩きは桶居山を見ながらでもあった。歩くうちに姫二火力線32番鉄塔、33番鉄塔と過ぎて行く。240mピークが近づくと、露岩地をずっと登るようになった。そこまで来ると南東方向に鷹ノ巣山を見るようになった。240mピークに着いて小休止とした。そこにも35番鉄塔が建っていた。上空の雲は少し少なくなったようで、桶居山が明るく見えていた。240mピークからは北へと向かうと、更に空は明るくなってきた。そして右手から鷹ノ巣山からのコースが合流した。但しそこに立つ標識には鷹ノ巣山ではなく高御位山の名が書かれていた。その合流点から少し登って210mピークに着くと、そこにも送電塔が建っていたが、それはもう一つの送電経路である姫一火力線の37番鉄塔だった。221mピークを越すと、漸く桶居山が目の前となり最後の登りにかかった。その斜面は広く露岩地になっており、鋭角的な姿の桶居山に似合っており、悪い感じでは無かった。山頂に着いたときは、別所中池そばの登山口に入ってから1時間半近く経っていたので、意外とかかったと思った。山頂に立ったときも雲はあまり減っておらず、陽射しが現れたり消えたりの中で昼食をとった。いっとき山頂展望も楽しむと下山に移った。下山は登ってきた東斜面の登山道を鞍部まで下り、そこから南西方向に向かえる尾根に入った。何度か歩いた尾根である。その尾根から見る桶居山は大きかった。その尾根をこれまでなら途中で北面側の小径に入って麓に下りていたのだが、尾根道をずっと歩いて行った。左手足下には二つの溜め池が見えており、その溜め池にどんどん近づいた。尾根道のままに下って行くと、最後は二つの池のうち西側の方となる三徳下池のそばに下り着いた。その後は野道を歩いて駐車地点に向かう予定だったが、往路で歩いた尾根を大きく迂回する必要があった。その向かいの尾根への小径が三徳下池の対岸側にあれば距離を大幅に短縮出来そうだった。そこでダメ元で土手を歩いて対岸側に出ると、尾根に通じていそうな小径を見た。ごく細い小径だったが歩いて行くことにした。ところがその小径はすぐにヤブ道になってしまった。ただ道としては続いていたので、ヤブコギで登って行くと、少しずつ歩き易くなり姫一火力線34番鉄塔の前に出た。そこより僅かな距離で往路で歩いた尾根道に合流したが、そこまでのヤブコギを考えると、山裾をぐるりと歩いた方が楽だったように思えた。後は別所中池の登山口へと下りると、優しげな土手道を歩いて駐車地点へと戻って行った。
(2020/7記) |