姫路市の東部、飾東町は加古川市志方町と接しており、境界尾根の最高峰は高山だが、この大神峯も山頂そばに建つ電波塔が目立っており、遠くからでもすぐに分かる山だった。この大神峯を北面側の管理道路を利用して登ろうと試みたことがあったが、入口に着いてみるとフェンスが張られており、そのゲートには鍵がかかって入ることが出来なかった。そのため諦めることになったが、その後も気にはかけていた。ただ低山でもあったので、積極的には考えていなかった。その大神峯の南東尾根に登山道があることを知ると、俄然行く気が起きて、漸くと言った感じで向かったのは2003年5月のことだった。ただ登山口がよく分からなかったことで、東麓にある溜め池に通じる道を歩いてしまい、その途中から尾根を目指すことになった。その斜面が猛烈なヤブで、それを何とか登りきって尾根に出た。尾根には尾根道があり、後は楽だった。山頂には祠があり、雨宿り出来る休み小屋も建っていた。下山は南尾根コースを辿って楽々と下山出来ることになった。
その南東尾根コースを再び登ろうと向かったのは3年後の、2006年3月のことだった。この日の兵庫北部は大荒れの天気だったが、南部はからっと晴れていた。しかも澄んだ空だった。この日の午前は用事で潰れていたが、午後の時間で易しく登れる山を考えたとき、大神峯が思い浮かんだ次第だった。国道372号線を走っていると、北から黒い雲が流れてくるようになっていた。薄暗い空で、ときに小雨がぱらついた。ただ雪雲のため、いっとき空が暗くなっても、流れ去ると青空が広がった。南東尾根の尾根端に近い位置に溜め池があり、車はその駐車スペースに止めた。そして大日如来のそばから始まる登山道に入った。最初はやや急坂であり、湿っているところもあって少し滑り易くなっていた。ちょうど雪雲が通り過ぎた後とあって、陽射しに包まれての登りだった。登るうちに展望が広がって右手に法華山をすっきりと見た。歩き易い尾根道のおかげで、登山口から20分とかからず山頂に到着した。ちょっと拍子抜けする思いだった。その山頂が、この日はすさまじい風だった。尾根でも強く風を受けていたが、その比ではなく、立っているのもやっとだった。兵庫北部は大荒れであることが容易に想像出来た。その猛烈な風を受けながら見えていたのは、くっきりとした古法華の山並みだった。善防山に笠松山、そして岩肌を見せているピークが幾つもあって、なかなかに良い眺めだった。遠方も笠形山や多可町の妙見山までは見えていた。ただ風は強いだけで無く冷たさもあり、まだまだ冬は終わっていないことを思い知らされた。長くは立っておられず、すぐに山頂そばに建つ拝殿に逃げ込んだ。その直後に再び黒雲が上空に広がってきた。その雲が過ぎ去るのを待つことにしたが、なかなか青空は戻って来なかった。40分ほど山頂にいたが、結局下山することにした。その下山を開始した直後に、青空が広がりだした。なんとも気まぐれな天気だった。山頂に戻ってもよかったが、尾根には山頂に戻らずとも古法華の山並みを眺められる所があり、そこは風も無く穏やかに過ごせた。後は散策気分で尾根を続けて登山口へと戻った。王神峯は遠くから目立っているだけでなく、展望の山でもあることを再認識してミニハイキングを終了した。
(2006/4記)(2025/7写真改訂) |