2005年5月連休の後半は午後に所用が多く、午前のみとなると近場を訪れるしかなかった。そこで4日のこの日は、大藤山を久々に訪れることにしたものである。別に新ルートで登る気もなかったので、前回の下りで歩いた登山道で、ピストンすることにした。車はダンベ池の南西端に近い位置にあった墓地の空き地に駐車した。ダンベ池の西を通る道を歩いて長楽寺に近づくと、憶えのある林道が北西方向に始まっていた。緩やかなまま歩くうちに、始めは竹林であった周囲は植林へと変わった。植林はあまり手入れされていない風に見えた。道はやがて細くなり、人が歩けるだけになって峠に出た。道なりに歩くと、大藤山山頂から離れて南の方向に向かうのだが、峠からは山頂方向への小径が分かれており、それを辿ることにする。道の周囲は植林と雑木が混じっており、整然とはしていなかった。ただ道はまずまずはっきりしていた。程なく「マムシに注意」の標識が現れて、その先は登山禁止の標識もあった。ちょうどその位置より枝道が南の方向に分かれていたので、その道を辿ってみることにした。上り坂になることも無く道は南へ回り込んでおり、程なく少し開けた所に出た。そこで目に付いたのは、大岩とその前に鎮座している石仏だった。どうやらその石仏を参るための道だったようでその先に道は続いていなかった。そこは一帯の草が刈られており、南に広く展望が開けていた。あいにくのモヤの強い空で風景は薄ぼやけたものになっていたが、足元には志方町西牧集落が、その背後に高御位山の尾根が眺められた。道を引き返し、登山禁止の先を進むことにした。マムシで登山禁止になると、全ての山は登山禁止になってしまうと思えるのだが。ただ道はその先から少し細くなり、灌木がじゃまをしたりして荒れ気味になってきた。かまわず登って行くと尾根に出た。そこまでも雑木に囲まれて薄暗かったが、尾根も薄暗さがあった。そして僅かな距離でピークに達した。その中央に小さく「大藤山」の山名札が付けられていたが、そこには三角点は無く道もまだ北東方向に続いていた。どうやら一つ手前のピークのようだった。その通り更に北東に道を辿ると、さほど歩かず三角点のある山頂に着いた。そこは三等三角点(点名・西牧)があると言うだけで、以前と変わらず周囲をヤブに囲まれて展望の全くない山頂だった。そこまで来て展望を得られたのは、枝道で出会った石仏の辺りだけだったことになる。ただ新緑の美しさはあった。山頂は休むほどの場所も無くゴミも目立ったので、すぐ引き返すことにした。そして麓の長楽寺から続く道との合流点まで戻ると、そこからは南へと歩き易い方の道を辿ってみることにした。少し歩くと、小さいながらも広場のような所に出た。隅には小さな祠が置かれおり簡単な東屋も建っていた。着いたときは快い風が吹き抜けており、気温はと見ると20℃で、ちょうど良い感じだった。暫しその風の中に佇んだ後は、引き返して長楽寺へと下って行った。長楽寺の境内に立ち寄ってみると、境内には明るい陽射しがあふれていた。涼しい風の中で眩しいばかりの新緑を眺めていた。
(2005/5記)(2011/2改訂)(2022/9写真改訂) |