尼子山はごく簡単に山頂に立てるので、半日程度で楽しむ山と思っているが、2018年2月の第三土曜日に向かったときも、午前中のみで楽しもうと考えてのことだった。これはパートナーが午後に平昌オリンピックのフィギュアスケート中継を見たいとの希望があってのことだった。
国道2号線を相生駅に近い位置で離れて高取峠に向かった。峠を越えて千種川のそばに出ると、左岸道路を北へと走って下高野集落に近づいた。そして前回と同様に車は河川敷緑地公園の駐車場に止めて歩き始めた。この日は簡単に尼子神社コースをピストンする予定だった。千種川の土手に立つと、北からの強風を受けた。北の空は雪雲の色で、瀬戸内側のみが晴れているようだった。風に逆らうようにして下高野集落へと入った。誓教寺の前を通って道なりに歩くと、尼子神社の鳥居が現れた。その鳥居のそばが登山口で、細々と登山道が始まっていた。始めは落ち葉が積もった緩やかな道で、トラバースするように西へと歩いた。ハゲ山との分岐点を過ぎると、北の方向に尾根を登るようになった。易しい道が続いていたが、四合目が近づくと少し傾斜が増してきて、後方に展望が現れた。この南尾根は風の影響は少なく、暖かい陽射しを十分に受けながら登って行けた。その途中で前方から大勢の声が聞こえてきた。すぐに追いつくと、10人ほどの高齢者グループだった。そちらの歩みは遅かったので、さっと抜いて先へと進んだ。周囲は岩場が増えて更に展望は良くなってきた。休まず登ると鳥居が現れた。もう山頂に着いたようである。山頂には小ぶりの神社が建っており、その右手は広場のようになっていた。その広場の方で四等三角点(点名・尼子山)を見た。その風景は以前と変わっておらず、神社前の木立が少し生長したと思える程度だった。神社の辺りは展望が無かったので、少し西へと歩いて展望岩に向かった。そして展望岩の上に立った。岩の上では一気に強風を受けることになった。北の方向を見ると、そちらは雪雲が山並みを隠していたが、西から南にかけてはすっきりと眺められて、西に黒鉄山を、南に瀬戸の島々を見た。暫しその風景を楽しんでいたが、グループが山頂に着くとこちらに向かってきたので、入れ替わるようにして展望岩を離れた。そして下山に向かった。下山をするうちに上空は雲が増えてきて、空の半分まで広がってきた。風景も寒々とした感じとなってきたので、ただ足下を見るようにして下った。それでも尼子神社に戻って来ると、絵馬堂に入ってそこに掛かっている絵馬を眺めた。後は石段を下って下高野集落へと入って行った。駐車場に戻ってきたときは11時20分になっていた。車を動かし出してナビを見ると、自宅到着の時間は12時過ぎだったのでフィギュアスケート中継に間に合いそうだった。再び高取峠へと向かって国道2号線を目指した。
(2018/3記)(2020/3改訂) |