たつの市の「觜崎ノ屏風岩」は、その名のごとく屏風の様で岩が剥き出しになっており、古くからの名所となっているが、その尾根は展望の良いことで気に入っている。屏風岩の尾根は觜崎橋のそばから揖保川の流れに沿っているが、200mピークからは北東に折れて揖保川からは離れていく。その尾根を南から眺めると、北東へと延びる尾根の中では263mピーク(点名・池ノ内)が一番目立っている。その尾根を初めて登ったのは1995年5月のことで、屏風岩の辺りだけでなく、263ピーク手前の岩場も好展望地で、大いに気に入ったものである。目立つ上にたつの市の市街地から近いことでもあり、登山に関する情報ぐらいあるだろうとその後調べてみたのだが、山名を含めて意外と思うぐらい無かった。そこで図書館で調べたのだが、分かったのは屏風岩のピークが鶴嘴山と呼ばれていることぐらいで、最高点の263mピークは古い資料(揖保郡地誌)で大源寺山ではと推測するのがやっとだった。ところが2003年に「はりま歴史の山ハイキング」が出版されると、そこには263mピークが鶴嘴山とされていた。どうも違うのではと思ったのだが、本の力は恐ろしいもので、それ以後は263mピークが鶴嘴山の名で定着してしまった感である。ところで2010年に屏風岩の尾根が整備されて、「鶴嘴里山公園」が作られた。そして大住寺地区からも尾根に出る登山道が作られた。そこで新しい道を歩いてみようと向かったのは2012年6月の梅雨どきのことだった。大住寺地区に入って山裾の車道を進んで行くと、山裾が広く開けた所が現れた。そこは鶴嘴里山公園の林間広場で、登山道の標識があり、休憩場所も作られていた。広いスペースは地元の人が駐車場として使っているようだったが、登山口の辺りは車を止めても問題無さそうに見えたので、そこに駐車とした。そこには二つの案内板が立っており、それを見て改めてこの尾根の山名について考えることになった。一つはハイキングコースの案内図で、そこには263mピークは含まれておらず、鶴嘴山コースは屏風岩の尾根道を指していた。もう一つは古墳の説明板で、どうも263mピークは大源寺山と読み取れる書き方をされており、鶴嘴山の名は無かった。このことから以前に調べた山名で正しかったのではと思えた。但し、山の名は時代と共に変わるので、263mピークは鶴嘴山の名で定着するのかも知れなかった。それも行政で違う名に変えれば、また変わってしまうのだろうが。この日は軽い散歩のようなハイキングなので詳細は下の写真帳に譲るが、歩いたコースは次の通り。林間広場の登山口から歩き始めて尾根に出ると、そこより東へと歩いてタイコ岩の上に立った。そこで展望を楽しむと、更に東へと歩いて大源寺山の山頂に立った。そこも好展望の場所が山頂そばにあった。大源寺山からは先に進まず引き返した。タイコ岩を通り、鶴嘴山コースを歩いて行った。尾根にはベンチが幾つか設けられて、休めるようになっていた。尾根は南へと向かいだし、揖保川の流れを右手に見るようになった。屏風岩の頭(鶴嘴山)を過ぎると、南面の大露岩地を下って行く。岩場を過ぎるとコースはそのまま尾根なりに南へと天満神社へ向かうコースと左手の墓地に下りるコースに分かれたが、ハイライトも終わったので墓地へと下った。墓地を抜けて麓に着くと、そこにも案内標識が立っており「屏風岩約10分」と書かれていた。後を山際の車道を歩いて駐車地点へと戻り、この早朝ハイキングを終了とした。この日のように林間広場を駐車地点とすれば、觜崎橋のそばから尾根に取り付いて、鶴嘴山、大源寺山、貴船山と歩いて戻ってくる形となって周回で歩けるので、次はじっくりとそれを目指そうかと思いながら林間広場を後にした。
(2012/9記)(2021/2改訂) |