冬になると陽光に燦めく瀬戸の海を眺めたくなるが、その思いから久々に嫦娥山を登ろうと向かったのは2020年12月の第三土曜日のことだった。嫦娥山の展望は良いとは言えないので、Z山まで歩く考えだった。そこで鳩ヶ峰の登山口から嫦娥山を目指すことにした。ダイセル播磨工場のそばを通って登山口に着いたのは10時45分のこと。そこから登るのは11年ぶりとなるが、鳩が峰コース自体は5年ぶりだった。やはり登山道の一部はシダヤブになっており、ファミリー向けのコースとは言えなかった。それでもヤブの程度は少し良くなっているように思われた。そのシダヤブの部分を除くと急坂があるわけでもなく、概ね易しく登れて登山口から24分で嫦娥山の山頂に着いた。そこも以前と変わらず笹が茂っており、展望は木々の隙間から家島諸島をちらりと見るだけだった。三等三角点(点名・七曲)を確認すると、すぐに北へとZ山に向かった。始めは笹地を歩いていたが、程なく周囲はウバメガシを主体とする常緑樹林帯となった。緩やかに下って登り返したとき、いきなりと言った感じで展望地が現れた。岩場の展望地で「蓬莱岩」の名が付いていた。そこからは瀬戸の海が存分に眺められた。瀬戸の海は期待通りに陽光を受けて燦めいていた。尾根歩きを続けて嫦娥山の北峰に着くと、一帯はなだらかな地形の上に尾根道は不確かとなっていたので、目印テープを追って歩いた。北峰の先で下り坂に入ると、ときおり展望地が現れて岩見港が眺められたりした。そしてZ山を間近に見るようになった。そのZ山へは尾根筋を通らず巻き道で近づいた。Z山は山頂が岩場になっており、遠目にも展望は良さげに見えていたが、着いてみるとそこは蓬莱岩以上の好展望地だった。瀬戸の海だけでなく、嫦娥山から野瀬奥山までの尾根も眺められた。その展望を楽しみながら昼休憩とした。縦走路を歩くのはZ山までとして、下山は往路を戻ることにした。蓬莱岩を通り嫦娥山北峰を通り、再び嫦娥山の山頂に立った。そして鳩が峰登山口へと下りて行った。その下山途中でのこと、空が一気に黒くなったかと思うとミゾレが降ってくるハプニングがあった。そのときは気温は8℃まで下がっていた。登山口に着くと、再び陽射しを見る空に戻っていた。
この日の感想は、鳩が峰登山口から嫦娥山を目指すのであれば、シダヤブの部分はいただけないが、Z山まで歩くのがお薦めではと思えた。蓬莱岩とZ山山頂で瀬戸の景色を楽しめて、御津山脈の良さを味わえて良かったと思えたこの日だった。
(2021/1記) |