TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨:旧備前国の山>
 
向山  (福浦向山) 266.2m 備前市(岡山県)
赤穂市
むかいやま     ふくうらむかいやま
1/2.5万地図 : 日生
 
【2009年2月】 2009-24(TAJI&HM)
 
   鷲ヶ山より  2002 / 11

 兵庫県の南西端は赤穂市が広い地域を占めているが、その赤穂市を見ると海岸に近い市街部こそ平野が広がっているものの意外と山が多くあり、その平野の部分を囲むように北へとずっと広い面積で山域が広がっている。その赤穂の山を紹介している本に「花と緑の散歩道」があるのだが、高価なことや発行部数が少ないこともあって入手は断念した。但し閲覧な赤穂市の図書館で出来るだろうと出かけることにした。2009年2月のバレンタインの日だった。幸いに書棚に置かれていたが、よくコピーされているようで、まだ出版されて1年ほどなのにかなり傷んでいた。さっそく開いてみると、もう登っている山が多かったが、未登の山にはやはり興味があった。そこでその一つをさっそくその日の午後に登ることにした。それが福浦向山だった。福浦地区は赤穂市の南西端であり岡山県と接する位置にあるのだが、調べてみるとそこは播磨の国では無く備前国のようだった。それが1963年に岡山県日生町より兵庫県赤穂市に編入されていた。そのためか国道250号線を走っていると、鳥打峠を越すときに何となく岡山県に入った感覚になるのだが、そこに福浦地区があり、更に福浦峠を越して漸く岡山県となる。その福浦地区の山としては2002年に鷲ヶ山を登っていたが、その時はむしろ福浦向山が目的だった。それが鷲ヶ山を目にして、その山頂展望の良さそうな姿に急きょ鷲ヶ山登山に切り替えていた。その意味からも福浦向山には興味が続いており、この山の記事を読んだことで、一気に登る気持ちが湧いたものである。この山を登るには東麓の八軒屋集落からと考えていたのだが、本に紹介されていたのは南麓からの県境尾根を登るコースだった。そこに道があればそれが一番簡単なので、午後の登山には相応しいのではと思えたのも選んだ理由の一つだった。
 国道250号線を寺東集落の位置で左折してJR赤穂線を越えた。右手に福浦向山、左手に鷲ヶ山の見える風景が懐かしかった。福浦向山は海際に立つ山なので、標高は300メートルに満たないと言っても堂々とした姿だった。山裾の八軒屋集落を抜けると、車道は海の間際まで近づいた。そして海岸に沿って南西へと向かい出した。車道の幅は狭く対向車があればすれ違いに苦労しそうだった。間近に鹿久居島が見える風景はどう見ても播州では無く備前だと思ってしまった。その車道から古池集落への道が分かれると、車道はくねくねと上り坂になり、県境の峠に近づいた。峠に着くとそこには駐車スペースがあり、見上げると福浦向山が明るく見えていた。木立の空いた所が見えており、また露岩も見えたので展望は良さそうだった。その駐車地点と車道を挟んで反対側には廃墟となった建物があった。その塀には別荘地の文字が見られので、どうやら一時は別荘地として開発されていたと思われた。その駐車地点のそばから登山道が始まっているはずだったが、見たところヤブ道のような小径が見えているだけだった。道としてはそれしかないので、少しヤブコギになりそうに思えた。ヤブコギを覚悟して歩き出すと、少し灌木をかき分けただけで分かり易い道になった。但し急坂になっていた。この日は2月の半ばだと言うのに異常に気温の高い日で、もう20℃に迫っていた。しかも幾分蒸し暑さも感じられて、すっかり春の陽気だった。おかげですぐに汗をかきながら登ることになった。登るほどに道幅は広くなり、途中からはどう見ても防火帯ではと思える道幅になってきた。背後を振り返ると、展望が広がっていた。目の前には鹿久居島が見えており、西には日生の街並みも望まれた。この日はまだ昼食を済ませていなかったので、その風景を見ながら休むことにした。ところが登って来たばかりとあって、この日の陽射しは暑すぎた。そこでそばの樹林に逃げ込んで昼休みとした。木陰でも気温は19℃と高かったが、涼しい風があってちょうど良かった。長い休みを取らず、ハイキングの続きに入った。急坂を登りきると、北西方向に山頂が見えていた。その辺りで防火帯は終わったようで、尾根の小径は細々としたものに変わった。しかも灌木の小枝にひっかかったり足下でもイバラが現れたりして、ちょっとヤブの感じになってきた。ただヤブコギをするとまでは言えず、少し煩わしい程度だった。尾根なりに緩やかに登って行くと、山頂が目前となって小径は山頂への道とそのまま北に向かう道とに分かれた。そこは当然山頂へと最後のひと登りをした。山頂に着いて二等三角点(点名・寒河)を見る。山頂は三角点回りこそスペースがあったが、周囲はすっかり雑木が囲んでおり、山中にポツンと穴が開いている雰囲気だった。当然展望は無し。そこにある三角点は周囲を削れれたためなのかコンクリートで補修されており、単なる目印の石柱にしか見えなかった。展望は山頂の南側にあるはずなので、そちらで休むことにした。そのまま南に向かったのではヤブに突っ込むので、登山コースを少し戻って回り込むようにして南面に出ることにした。そこで山頂を離れて先ほどの分岐点に戻ると、そこからも少しは展望があり、東の方向に赤穂市街が眺められた。その風景を少し眺めた後、南面の展望地に立ち寄った。登山道から少しヤブをかき分けると、そこは疎らに灌木が立つだけで、一帯は明るく開けていた。点々と露岩も見えていた。そこが駐車地点から見上げられた場所と思えた。前面に広がるのは瀬戸の風景で、鹿久居島を越えて小豆島も見えていた。左手には赤穂の街並みがあり右手には日生諸島と、登りで振り返った見えた風景を一段高い位置から更に広く眺めることになった。その島が間近に眺められる風景はやはり播州のものでは無く備前の風景だった。入り江が逆光に光っているのが美しかった。この風景を眺められるのが福浦向山の特徴と言えそうだった。ひとしきり展望を楽しむと下山に移った
。この下山は速かった。急斜面を休まず下ると、山頂の展望地から20分で下りてしまった。東から見上げる姿は大きな福浦向山だったが、南の峠の位置からだと標高差は200mほどとなるので、やはり県境尾根コースが一番簡単と言えそうだった。急きょ登った福浦向山だったが、十分に瀬戸を眺められて、満足の思いで峠を後にした。
(2009/2記)(2021/11改訂)
<登山日> 2009年2月14日 13:22県境峠よりスタート/13:36〜52尾根の途中で昼休憩/14:11〜51山頂/15:12エンド。
(天気) 穏やかに晴れていた。2月の中旬だと言うのにすっかり春のような陽気だった。気温は木陰でも19℃あり、陽射しの中では軽く20℃を越えていそうだった。但し風には冷たさがあって、木陰では薄ら寒かった。視界は幾分うっすらとしていた。
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福浦地区に入って離れた位置から向山を見る 県境の峠に着いて福浦向山を見上げる 始めはこの様子からヤブ道が続くかと思ったが

 すぐに登山コース
 は道幅が広くなっ
 た

    背後には鹿久居島
    が大きかった
幅広の道は傾斜がきつかった 背後に海の見える登りだった 快晴とあって、陽射しをまともに受けて登った
陽射しの強さを避けて樹林に涼しさを求める 登りを続けると、北西方向に山頂が見えてきた 防火帯が前方に続いていた
鹿久居島の背後に小豆島が見えてきた 小豆島を少し大きく見る 尾根が緩くなって、前方に山頂を見る
山頂に着いて二等三角点(点名・寒河)を見る 三角点はコンクリートで補修されていた 三角点の周囲は雑木が囲んでいた
山頂のそばからは東に向かって展望があった 左の写真に写る野瀬奥山の辺りを大きく見る

 山頂の南斜面に移動
 すると、期待通りに
 瀬戸に向かって好展
 望が広がっていた
パートナーが瀬戸の風景を眺めている 入り江が陽射しを受けて光っていた 上の写真の中央部、古池集落を大きく見る
西島を大きく見る 日生諸島は逆光を受けておぼろげに見えていた 下山は速かった 急斜面をすたすたと下った