千種川の西岸を通る県道90号線を走って赤穂市街に近づくと、対岸で目立ってくるのが尼子山で、次に現れるのが高伏山だった。どちらもどっしりとした山容をしており、登高意欲をそそられる山だった。尼子山には何度か登っていたが、高伏山は2009年以降は登っていなかったので、久々に登ってみようと出かけたのは2019年のゴールデンウィーク期間の一日だった。前回は宝珠山から足を延ばして訪れていたが、今回はコースを変えて高取峠側から登ることにした。その高伏山を地図で見ると、宝珠山から続く尾根道は高伏山を通って更に北へと延びて相生市の桜ヶ丘へと至ってるが、高取峠に近い位置に標高216mの三角点ピークを見たので、そのピークも併せて登ることにした。
この日は令和元年となって二日目の5月2日だった。前日まで雨模様の日が続いていたが、この日から漸く晴れの日が続く予定になっており、午前の空はまだ雲が多く残っているものの晴れと呼べるまでになっていた。車を止めたのは高取峠のモニュメントの前で、地図では峠近くから破線路が描かれていた。ただ高取峠から少し相生市側に下った所に高取延命地蔵菩薩への石段を見ていたので、それを歩いてみることにした。峠を離れて5分ほどでその石段に着いた。標識も立っていたので分かり易い場所だった。石段を登ると延命地蔵菩薩の前に出て、その先も小径が南へと続いていた。どうやらその小径で尾根に出られそうだった。その狙いは当たっており、始めは国道に沿って歩いたが、途中から尾根の方向へと登るようになった。そしてごく自然に尾根道に合流した。尾根道は巡視路でもあるようで、はっきりとした道だった。先に216mピークに立とうと北東に向かった。緩やかに下り緩やかに登り返して中間地点の230mピークに立った。そこは展望があり東に天下台山が見えており、その手前にはこれから向かう216mピークも見えていた。その辺りからは展望の尾根歩きとなり北の山並みが一望となった。また露岩地が現れてそこからは相生湾が眺められた。その先も易しい道で基本的に下り坂だった。おかげで気楽に216mピークのそばに着いた。但し巡視路は216mピークを巻く形で続いており、ピークに立つには斜面を登る必要があった。ピークまで僅かな距離だったので適当に斜面に取り付いたが、そこはすっかりヤブになっておりイバラも混じっていた。そのイバラをハサミで切りながら登ることになった。何とかピークに出るとそこは岩場になっており、岩場の上は意外なことに展望が開けていた。見えていたのは南の方向で、高伏山がすっきりと眺められた。そのピークから巡視路へと戻るとき、歩き易い所を探りながら下ると、22番鉄塔のそばに出てきた。次は巡視路を戻る形で高伏山に向かった。230mmピークを過ぎ高取峠からの小径の合流点を過ぎても順調な尾根歩きだった。前方に見える高伏山へと徐々に近づいて行く。このまま気楽な尾根歩きかと思っていると、18番鉄塔が建つ180mピークの先で鞍部へと下りてきたとき、その先にはっきりとした小径は無かった。ただ細々とした小径に目印テープを見るだけだった。どうやらその先の送電経路と先ほどまでの送電経路は違うため、巡視路は切れているようだった。始めは目印テープを追ったが、上りの方向でもあるので適当に斜面を登ると、相生火力線6番鉄塔の前に出た。そこからは再びはっきりとした尾根道を歩くようになり、高伏山山頂へと近づいた。山頂が間近になると樹林帯に入り、ほぼ平坦な所に出るとそこに三等三角点(点名・高代)を見た。山頂に着いたようだった。そこは樹林帯のまっただ中で全く展望は無かった。そこより西斜面に入れば山火事跡に出て展望が開けるはずだったが、展望に関しては途中で十分に楽しんでいたので、山頂を確認したことで良しとすることにした。下山は高取峠に戻るため、歩いてきた道をすんなりと引き返した。6番鉄塔の先はコースが不明瞭になるため、しっかりと目印テープを追って下った。そして鞍部よりはっきりとした尾根道を歩くようになり分岐点に戻ってきた。後は峠へと通じる小径に入ってごく気楽な感じで高取峠へと戻って行った。
(2019/5記) |