2020年の梅雨は長く、7月の最終週が近づいても週間天気予報には雨マークが並んでいた。そのため7月後半の4連休は近場で過ごすことにした。その4連休の3日目も朝からどんより曇り空で、小雨がときおりぱらついていた。その小雨の中でもしっかり登れる山を目指したくなり、思い浮かんだのは高御位山の長尾コースだった。但し露岩の尾根が雨に濡れて滑り易くなっていないかとの心配はあった。それは慎重にさえ登ればなんとかなるだろうと実行に移した。
阿弥陀新池の駐車場に着くと、車は2台しか止まっていなかった。雨模様の日に長尾コースを目指す物好きは少ないようだった。いざ歩き出すと、山裾には以前は見なかった害獣避けフェンスが作られており、そこに設けられていたゲートを通過することになった。高御位山のように樹林の少ない山でも、鹿などの害獣被害が出ているようだった。樹林を抜けると、はや露岩地登りが始まったが、濡れた岩は予想以上に滑り易くなっており、出来るだけ露岩の縁を歩くようにしたりして慎重に登った。また歩き始めたときは小雨とも言えない程度のぱらつく雨だったのだが、登るほどに雨の降り方は強くなり、姫路火力東線36番鉄塔に着く頃には本格的な雨になっていた。そのため露岩はいっそう滑り易くなってきた。とにかく慎重に登る一択だった。ただ岩は普段は足がかりの良い岩とあって、沢の岩と違ってツルリと滑る感じの所は無く、そのため足を置く所を慎重に選べば問題なかった。あめとあって視界は薄ばんやりとしており、ひたすら登ることに専念すると、ゲートの位置から34分で山頂到着となった。その山頂には二名の先着者がいるだけだった。登る途中からやや強く風を受けていたが、山頂は更に強い風だった。強いながらも寒い感じは無く、ひたすら涼しいと言えたので雨は別として無難に過ごせた。最高点は岩の上なので、滑り易いことを考慮して、この日は最高点には立たなかった。その山頂では僅かな時間だけ過ごして下山に移った。始めの予定では鷹ノ巣山まで歩くことを考えていたのだが、雨の山頂に立っているうちにその考えは消えてしまった。そこで登ってきた長尾コースを引き返すことにした。濡れた露岩の下りは、いっそうの慎重さを必要とした。特に滑り易い所は手も使って下ったのだが、それでも二度ほど濡れた岩で滑ってしまった。パートナーも二度ほど滑っていた。皮肉だったのは下山中に雨脚が弱くなってきたことで、送電塔に近づく頃には、ほぼ雨は止んでいた。南西の空にはうっすらと青空が見えていた。ゲートに着いてみると、山頂から52分かかっていたので、往路よりもずっとゆっくり歩いたようだった。
(2020/7記) |