播州の海岸に近い山からは当然海が眺められるが、海岸線の多くは工業地帯になっており、自然な海を眺められる山は少ない。その中でずっと自然な海岸線を眺められるのは、たつの市の御津山脈ではなかろうか。その自然な海を見たいことと、ツツジに彩られた登山道を歩きたいとの思いで、御津山脈の雄鷹台山に向かったのは、桜が散り始めた2011年4月17日の日曜日のことだった。
この日は朝から快晴だったが、出かけられるようになったのは昼を過ぎてからだった。そうなると近くで過ごすことになるが、ちょうど播州南部ではどの山もツツジが咲き始めており、そのツツジの花を見たいと思った。それも自然な海岸を眺めながらと考えたとき、自然と雄鷹台山の姿が思い浮かんだ。ごく近い山でもあり、さっそく家を離れた。鳩ヶ峰近くの登山口に着いたのは13時半のこと。雄鷹台山は問題なく登れるが、それだけでは短過ぎるので、仏ヶ台山まで歩きたいと思ったが、それでは長過ぎる。そこで仏ヶ台山への尾根道を適当な所まで歩いて、そして引き返すことにした。時間にすれば、西へと歩くのは15時までを目処とした。その登山の様子は下の写真帳をご覧いただきたい。雄鷹台山の山頂に立ち、仏ヶ台山へと縦走に移ると、期待通りにツツジが点々と咲いており、ツツジ回廊と呼べそうな所も現れて春の山を十分に味わえた。但しツツジはまだ八分咲程度で、満開はまだ一週間ほど先ではと思われた。左手から大浦西登山口からの登山道が合流した先で登山道の傾斜はきつくなり、また荒れ気味になったが、程なく270mピークに着いた。その時点で時間は14時50分を過ぎていた。もう15時が迫っていたので引き返すことにしたが、そこに展望が無いことから西の風景を眺めてから引き返そうと考え、展望を得られるまでと今少し進むことにした。ピークを越えて下りに入るとすぐに展望が現れて、そこで足を止めた。そして暫しの休憩をとった後、歩いてきた道を引き返した。鳩ヶ峰の登山口に戻ってきたのは16時を回った時間で、ざっと3時間近くのミニハイキングを楽しめたことになった。
この日の尾根歩きを振り返ると、尾根から見る瀬戸の風景はいつもながらに旅情が感じられて悪くなかったが、どうも人の訪れが少ないようで、年々荒れてきているように思えた。このままでは元のヤブ尾根に戻ってしまいそうだったが、それはそれで悪くないと思っている。好きな人だけが静かな尾根歩きを楽しめれば十分ではと思いながら、鳩ヶ峰を後にした。
(2011/5記)(2021/7改訂) |