冬本番に入ると兵庫北部は天気の悪い日が増えてくるため、登山対象になる山はどうしても瀬戸内側になってくる。2018年12月24日もそのような日だった。そこで久々に須磨アルプスを訪ねることにした。但しパートナーは用事があって単独行として出かけた。コースはオーソドックスに山陽電鉄の須磨浦公園駅からスタートすることにした。
須磨浦公園駅を降り立ったのは9時50分のこと。始めに鉢伏山を目指すため駅前の道を西へと歩いた。すぐに敦盛橋が現れて山陽電鉄の線路を越すことになり、越えた先で鉢伏山への遊歩道が始まった。後は標識に従って登るだけだった。遊歩道はほぼ階段道になっており、登るほどに展望が現れて瀬戸内海そして淡路島、明石海峡大橋が眺められた。この日の視界は澄んでおり、遠くは紀泉山脈も望めた。その鉢伏山コースには幾つか展望台があって、最も良かったのは鉢伏山山頂の手前に建っていた東部展望台で、淡路島の方向だけでなく、神戸市街も広く眺められた。そのあと鉢伏山の山頂に立つも、そこは展望は無くただの公園にしか見えなかったので、すぐに離れて旗振山へと通じる尾根道に入った。尾根道は自然林に囲まれており、雰囲気は悪くなかった。旗振茶屋の建つ旗振山はさっと通り過ぎて、その先の鉄拐山へと登ると、山頂はすっかり木が伐られて展望地に変わっていた。瀬戸の海に北は丹生山系まで素晴らしい展望を楽しめることになった。但し冷たい風をまともに受けることになり、それを我慢しながらだった。その鉄拐山から階段道を下った先に建っていたのはおらが茶屋で、その先は長々と階段の下りがあって高倉団地に入った。山上に広がる団地だったが、麓を歩いているような雰囲気のためか、ちょっと登山モードから離れることになった。高倉団地を過ぎると栂尾山は間近となり、跨道橋を渡ると山裾道へと入った。その山裾道で栂尾山の南面側から西面側に回り込むと、300段を越す長い階段登りが始まった。その階段登りは夏場なら敬遠したい所だが、冬場はひんやりとした空気に包まれてとあって休まず登って行けた。階段が終わっても今少し上り坂があり、栂尾山の山頂に出た。そこには展望台が建っており、歩いてきた尾根が眺められた。栂尾山を離れると尾根歩きで横尾山に近づくが、ウバメガシを主体とした常緑樹林帯に包まれる雰囲気は良かった。そして横尾山の山頂に出て二等三角点(点名・須磨)を見た。いよいよそこからが須磨アルプスの核心部だった。岩場の尾根に入って下り坂となってちょっと危ない感じが出てきたが、クサリがしっかり張られていたので実際は無理なく下って行けた。前方に馬ノ背の岩稜帯が広がってきて、その中心へと入って行く。そこもクサリがあってけっこう易しく歩けた。まずは岩尾根の雰囲気を味わいながら通過した。登り返して展望地に出ると、今歩いてきた馬ノ背を振り返った。その背後は栂尾山と横尾山の並ぶ姿だった。そこを後にして尾根なりに緩やかに登って東山の山頂に出た。そこは休憩ポイントでもあるのか幾つかベンチが置かれており、その一つに座って昼休憩とした。その東山も展望地で、西に横尾山が大きく眺められた。その左手には旗振山も望まれた。休憩を済ませると下山に移った。前回は妙法寺駅駅へと下ったが、この日は板宿駅を目指すことにした。但し妙法寺駅を示す標識はあったが、板宿駅を示すものは無かった。それでも板宿の方向に小径があったので、それを辿って行くことにした。その小径に入ると程なく板宿駅の標識が現れ、以後は標識を点々と見るようになった。その板宿コースは終始緩やかで、樹林の雰囲気も良く、市街地のごく近くを歩いているとは思えぬ落ち着きのある里山道だった。その易しい道で板宿八幡神社のそばに出てきた。神社には立ち寄らず住宅地へと入って行くと、もう板宿駅の標識を見ることは無くなった。駅の方向へとコンパスを見ながら住宅地を抜けて行くと、ダイエー板宿店の前に出た。そこより板宿本通商店街に入って大通りに近づくと、板宿駅が見えてきた。須磨浦公園駅を離れてから4時間半が経っており、程よいハイキングを楽しめたようだった。ただ山上では多くのハイカーと出会ったのだが、板宿コースに入ってからは数人としか出会わなかったのは意外だった。
(2019/2記) |