赤穂市と備前市との県境尾根には福浦向山や相場ヶ裏山があるが、その二つの山の間にも三角点ピークがあって気になっていた。その313mピークに毘沙門山の名が付いていることを知り、登ってみることにした。始めは毘沙門山を南側から登ろうと考えていたが、備前市側の寺山集落側からアプローチすれば、山頂まで少し距離があるものの途中で寺山にも立ち寄れるので、寺山コースで登ることにした。その毘沙門山はヤブ山のようだったので、暑い季節は避けて冬場に登ることにした。そこで2019年の2月に入って、第二週の三連休中日に向かった。ナビに従って車を走らせると、赤穂市からは県道96号線を走って県境を越えることになった。岡山側に入るとすぐに現れた左手の枝道に車を進め、山陽自動車道の下を抜けた。その先はごく細い道で、大池の縁をなぞるようにして南に向かった。寺山集落に近づくと、南の方向に端正な姿をした山が現れた。それが寺山のようだった。大池を過ぎると寺山集落に入った。その奥まった位置にある集落は戸数はそこそこあるのだが廃屋が目立った。集落を抜けて林道に合流すると県境方向となる南東へと車を進めた。程なく現れたのが中ノ池で、その中ノ池から歩き出す予定としていたので土手そばに駐車とした。まずは林道歩きだった。県境を目指して南東へと歩き出すと、まだ民家が二軒建っていた。その先はごく緩やかな上り坂で、気楽な林道歩きだった。県境が近くなったとき左手に現れたのは地蔵菩薩で、まだ新しいシキミが備えられていた。そこを過ぎると程なく県境となる峠に着いた。毘沙門山へは県境尾根を南へと歩いて行くのだが、峠の位置から尾根道が始まっていた。少しヤブっぽさがあるものの無理なく歩ける小径だった。始めに260mピークを越え、次に291mピークを越えた。尾根筋からはときおり展望があり、小豆島が眺められたり背後に黒鉄山の尾根を見たりした。ときに樹林を抜け出すことがあり、前方に見えたのは340mピークだった。その340mピークへと緩やかに登って行く。そして340mピークに着くと、そこからは一度県境尾根を離れて東へと寺山に向かった。寺山は県境から300mほど離れており、そちらへもヤブっぽいながら小径が続いていた。前方に見える寺山へと緩やかに下って緩やかに登り返した。上り坂になると南への展望が現れて瀬戸の風景が楽しめたが、その先の寺山山頂に着くと、そこはすっかり雑木に囲まれており展望は無かった。寺山から県境尾根に戻ると改めて南へと向かったのだが、どうもその辺りより小径がはっきりしなくなった。周囲はすっかり雑木ヤブになっていたため、仕方なくコンパスで尾根の方向を見極めながら進んだ。そのヤブの中に目印テープを見たが、道筋がはっきりしないためあくまでもコンパスを頼りにして歩いた。その雑木ヤブにはイバラが多く混じっており、それがけっこう煩わしかった。そのうちに小径を辿るようになり、程なく雑木帯を抜け出した。その辺りは伐採の跡地なのか大きな木は無く、灌木程度とあって展望が広がっていた。北西方向に見える大きな尾根は天狗山から続く尾根のようで、南西には漸く毘沙門山が南隣の311mピークと共に眺められた。その灌木帯からは尾根道を辿れるようになったもののまだヤブ道と言ってよく、ときにイバラを剪定ハサミで伐って進むこともあった。鞍部へと下りそこより緩やかに登り返して毘沙門山の山頂に到着した。そこは寺山と同様にすっかり雑木に囲まれており、展望は無かった。それでも少し手前の位置からは少ないながらも展望があり、東に赤穂市街が見えていた。この展望のおかげで毘沙門山が赤穂の山であることがよく分かった。下山は県境尾根を戻るのみ。山頂に着くまでにひっかかっていたイバラは伐っていたので、往路と比べると煩わしさは幾分減っていた。またほぼ尾根筋を逸れずに戻って行けた。おかげで毘沙門山から林道までを一時間半ほどで戻ってきた。結果としてヤブ山登山ではあったが、尾根の高低差は少ないとあって体力的にはさほど厳しさは無く展望もまずまず楽しめたので、寺山、毘沙門山に対する印象は悪くなかった。
(2019/2記) |