点名・地獄谷を持つ三角点ピークは車池の西側にあり、たつの市と相生市を限る尾根上にある。地図上では全く目立たないピークだったが、このピークを登ろうと考えたのは、紅葉の車池を訪れたついでに近くのピークに立とうという単純な考えからだった。始めに訪れる車池は菖蒲谷森林公園に通じる市道側からならごく簡単に近づけるが、地図を見ると、相生市の***側から近畿自然歩道でアプローチ出来ることが分かった。そこで近畿自然歩道を歩いて車池に向かうことにした。そして点名・地獄谷を併せることにしたものである。出かけたのは2014年の11月22日で、播州南部は紅葉の盛りを迎えていた。県道44号線を森集落の位置で離れて、東に向かう車道を進んだ。釜出集落に入ると、公民館の横に一台分の駐車スペースを見たので、そこに駐車とした。その近くに近畿自然歩道の標識があり、それに従って歩き始めると、集落の先で小さな橋を渡って山頂へと向かうことになった。自然歩道は沢沿いに続いており、ごく緩やかな道だった。ただ進むほどに少し荒れが目立ってきた。その自然歩道がはっきりと上り坂となると、周囲は自然林となって優しげな雰囲気となった。その坂を登りきると、車道に合流した。その車道を東へと歩くが、そのまま歩けば市道に合流して菖蒲谷公園へと向かえることになる。目的は車池だったので、右手に分岐する道に注意していると、すぐに林道が分かれた。分岐点には紀功碑が建っていた。林道の入口には鎖が張られており、一般車は入れなくなっていた。その鎖を越えて上り坂の道を歩いて行くと、すぐに現れたのが送電塔(西播線46番鉄塔)だった。林道はそのそばより下り坂となり、車池へと近づいた。周囲は自然林が多く、ちょうど紅葉の盛りを迎えていた。池が現れると、池の対岸側が見事に紅葉しているのが眺められた。そして水の風景が加わることで紅葉の美しさが増しているように思われた。林道は土手になった位置で終わっていた。その辺りは休憩に良い所だったので、少し早いと思ったが昼休憩をとることにした。紅葉の山と池を見ながらの昼食は、ちょっと贅沢な気分になれた。のんびりと池のそばで一時間近くの休憩をとると、次は点名・地獄谷を目指すことにした。池のそばからは、そのピークがほんの僅か見えるだけだった。車池の畔を引き返す形で歩き始め、車池の北端まで来たとき、西の尾根を目指して車道を離れた。特に小径は無かったが、赤テープの目印は付いていた。池の北端を回って斜面に取り付くと、少しヤブっぽくなってきた。それも尾根に出るまでで、尾根筋は無理なく歩いて行けた。その位置からはぐるりと回り込むようにして歩くのだが、西に向く位置で真っ直ぐ南に歩いてしまい、小さなピークに着いて誤りに気付いた。ただそのピークからは314mピーク(点名・地獄谷)を間近に眺められたので、その姿を記憶してから引き返し、正しいルートに入った。ほぼ平坦な尾根で314mピークに近づいて少し傾斜が増しただけだった。その辺りの樹林は常緑樹が多いようで、紅葉した木は少なかった。314mピークに着いても似た感じだった。しかも展望も無かったため、平凡なピークと言えそうだった。期待した車池の展望も無く、展望に関しては、無理に探って三濃山を樹間から眺めただけだった。まずは点名・地獄谷に立つ目的は達したので、長居はせず下山に向かった。下山は釜出集落の東外れの位置に下り着こうと、北に延びている尾根を下って行くことにした。途中までは往路を歩き、その途中から北尾根に入った。尾根の途中は平坦になっており、その辺りは紅葉が見られた。また西の方向に展望もあった。その感じのまま下って行きたかったのだが、麓が近づいて急斜面を下ることになった。樹林帯を下るため掴まる木があって何とか下って行けたものの、手を滑らせるとちょっとした怪我をしそうだった。無事に麓に下り着き、害獣避けフェンスに当たると、その開口部を探して小径に出た。その位置からは釜出集落の外れまでは僅かな距離だった。
ところで点名・地獄谷の点の記を見ると、俗称で地獄谷とされていた。それなら山名でも地獄谷と呼んでも良さそうに思えて、ここでは山名を地獄谷とした。
(2014/11記)(2020/12改訂) |