荒山はJR有年駅に近い山なのだが、これまで車でしか訪れていなかった。そこで有年駅を起点として歩いてみたいと考えていた。それを実行したのは2017年2月中旬で、冬らしく晴れてはいたが寒々とした日だった。有年駅を降りたのは10時過ぎ。有年駅はホームを含めて作り替えられようとしており、ホームは新しいホームに降りたが、駅舎は古い建物が使われていた。駅前から真っ直ぐ南に延びる道路がそのまま周世坂となる道で、それを歩き始めた。駅前の家並みは僅かで、すぐに途切るとその少し先で周世坂が始まった。車道とあって特に急坂になることも無く登って行くと、駅を出てから20分で登山口に着いた。峠の少し手前の位置だった。登山口には巡視路であることを示す赤い標識を見るのみで、登山口を示す標識は無かった。登山口に入ると大きな檻を見たが、イノシシでも捕獲するためかと思われた。巡視路とあってヤブになっている所は無く、無理なく登って行けた。赤穂火力線の28番、29番と二つの鉄塔のそばを通ると、歩く方向は北東から東に変わった。鉄塔の経路からは離れたが、山頂には反射板が建つとあってその先も小径は続いており、また赤テープも点々と付けられていた。陽射しの中を登るとあって、ひんやりとした空気がむしろ快く感じられた。そして登山口から40分で山頂到着となった。最高点にはマイクロウェーブ反射板が建っており、その周囲に三角点は無かった。地図を見ると山頂の少し南寄りに三角点記号が付いていたので、南の方向に少し下ってみたところ、シダヤブの中に四等三角点(点名・荒山)を見た。反射板から20メートルほど離れた位置だった。山頂は雑木が茂っており展望はほとんど無かったので、山頂に立ったことを良しとして、昼食を済ませるとすぐに下山とした。始めはバリエーションルートも考えていたのだが、上空に雲が増えてきたのを見て、すんなりと往路を戻ることにした。登って来るときはただ歩くことに集中していたので、下山は展望を求めながら下った。以前の記憶として少しは展望があるはずだったので注意していると、南西に黒鉄山、北西に黒沢山、そして北に宝台山と少し木々に視界を遮られながらも眺められた。それも29番鉄塔を過ぎると常に樹林に囲まれるようになったので、後は黙々と下るのみだった。登山口に戻って来ると、上空はすっかり曇り空に変わっていた。後は周世坂を下る一方とあって、軽い足取りで有年駅へと戻って行った。
(2017/2記)(2020/4記) |