星ヶ峰の名に惹かれて登ったのは95年12月のことだった。地図に示された下栗原からの登山道はけっこうヤブ道だったと記憶している。山頂に立ってその先の高原散策を期待していたのだが、高原はほぼ全域が別荘地になっており、場違いな場所に来てしまったと思ったものだった。そのため星ヶ峰の印象は良いとは言えなかった。その星ヶ峰も20年と経過してくると、山頂の記憶が曖昧になってきた。そうなるともう一度山頂に立っても良いのではと思えてきたが、コースは替えたかった。手っとり早いのは播磨自然高原に上がってそこから歩き始めることだが、但し問題があり、播磨自然高原はほぼ全域が別荘地として管理されているため、部外者は入れないことだった。それでも高原内にある太山寺(たいさんじ)は上郡町のホームページで紅葉の名所として紹介されているので、そこを訪れることは可能ではと思えた。そこで播磨自然高原をまずは目指すことにした。
向かったのは2015年10月の三連休のこと。連休の初日、二日目は曇り空だったが、三日目のこの日は快晴で朝を迎えた。ナビを太山寺にセットすると、国道2号線をずっと西に走ることになった。千種川を渡り鯰峠を越えると、その先の梨ヶ原で国道を離れた。そして播磨自然高原への道に入ると、程なくゲートが現れた。ガードマンがおり、ゲートのバーは降りていた。そのガードマンに太山寺に行きたいことを告げると、あっさりと許可をいただいた。但し太山寺までにはもう一つゲートがあるとのことだった。別荘地は広大で、道はくねくねとしており、枝道も多かった。ナビが無ければ迷いそうだった。二つ目のゲートでも同じことを告げると、そちらも無事通過となった。標高は200mを越えており、くねくね道はまだまだ続いた。太山寺に着いたときは、漸く着いたかの思いだった。駐車場らしき場所が見えなかったので、路肩の広くなった所に駐車とした。そこまで来れば星ヶ峰までは500mほどで、標高差も30mほどとあって散歩のようなものだった。まずは涼しい空気の中、太寺山の散策を楽しむことにした。駐車地点の近くにあったのは宝蔵院で、その山門の前に小径が見えていた。その小径に入ると点々と石仏を見た。どうやら一帯の丘に四国八十八カ所のミニ霊場が作られているようで、石仏巡りが出来るようだった。そのお遍路道を歩いていると開けた所が現れて、東向かいの丘が眺められた。それが星ヶ峰だった。尾遍路道の散策を切り上げると車道方向へと下った。現れたのは本堂で、そばには鐘楼も建っていた。そこから星ヶ峰へと車道を歩いた。その先で金剛院が現れたが、門を見ただけで中には入らなかった。まだ別荘が建っており、車道を終点まで歩くと、星ヶ峰との距離は100mも無かった。終点からは山道が始まっており、ごくあっさりと山頂に着いた。その山頂だが少し開けており、まずまず展望があった。南から西にかけての展望で、赤穂の山並みや石堂丸山が眺められた。東の方向も木々の間から少しは展望が得られた。小径は三角点で終わらず、その先へと続いていたので少し歩いてみると、北の方向へと下り坂になった。その小径が下栗原に通じる道と思えたが、見た感じは易しく登って来られそうだった。散歩する感じで星ヶ峰の山頂に立ったが、けっこう山頂らしさがあって来て良かったと思えた。山頂で15分ほど過ごすと、後はすんなりと駐車地点に戻った。車に着くとまだ11時だった。これなら別の山で昼食をとろうと考えて、思い付いたのが上郡の市街地に近い生駒山だった。車に乗り込んで二番目のゲートまで戻って来ると、上郡市街にはゲートを通らずともそのそばから分岐する車道で向かえるようだった。細い車道だったが、ごく短い時間で県道385号線に合流した。考えればこの道を利用すればゲートを通らずとも太山寺にも星ヶ峰にも行けるので、播磨自然高原の別荘地に用が無いのであれば、こちらの道で山上に出るのが良さそうだった。
(2015/10記)(2020/9改訂) |