姫路市林田町の八幡神社は城下町林田の守り神らしく、鄙な位置にある神社としては規模の大きな神社である。その八幡神社の背後で大きな姿を見せるのが鈴ヶ峯で、初めて登ったのは1996年のことだった。里に近い山でもあるので簡単に登れるものと思っていたところ、何とも厳しい笹ヤブに会ってしまい、ようやくに思いで山頂に立ったものだった。そのヤブのきつさがトラウマとなって再訪の気持ちは起きなかったのだが、各地の山で鹿の食害が進んでいる状況から、鈴ヶ峯の笹ヤブも変わってきたのではと思えた。それを確かめたい気持ちが起きてきて再訪をしたくなった。
向かったのは、20年後となる2016年5月のことだった。前回と同じく八幡神社の裏手から取り付いた。樹林が広がっているものの下生えは少なく、また樹林としても疎らだったため、適当に登って行けた。目印テープも目に付いたが、尾根筋を辿って行くため、テープを追わなくとも無難に登って行けた。そして以前は笹が密生していたであろう所まで登ってきたところ、予想通り笹はごく僅かになっていた。やはりこの山も食害に遭ったようである。すっかり以前の面影は無くなったが、おかげで歩度が鈍ることもなく登って行けた。山頂が近づいて少し笹ヤブが現れるも、軽いヤブコギ程度で進めた。そして神社から30分で山頂到着となった。これは軽い登山と言えた。山頂は樹林に囲まれており展望は悪いと言えたが、木立の空いた所からは南西方向が望めた。山頂に立つことが目的だったので、すぐに下山に移ることにした。ヤブがきつければ往路を戻るつもりだったが、ヤブはほとんど無かったことで別の尾根を下ることにした。まずは北東方向に向かい、290mピークの先の鞍部で尾根を離れて南へと下った。そちらも笹ヤブは無くスムーズな下りだった。そのうちに小さな尾根を辿るようになり、その尾根を下り続けると山裾道が見えてきた。下り着いた所は前日の佐見山ハイキングでも訪れた五輪塔の位置だった。そこからは山裾道を歩いて八幡神社へと向かった。佐見山の東登山口、南登山口、西登山口と過ぎて八幡神社に戻ってきたときは、もう鈴ヶ峯へのトラウマはすっかり消えていた。
(2016/6記)(2020/7改訂) |