2014年8月の最終日は日曜日だった。天気予報では曇りとなっており、その日は他の用事に当てることにしていたのだが、朝の空は快晴だった。しかも空の色は青かった。ただ昼には曇り出すのではと思えて、そこですぐに山頂に立てて展望の楽しめる山に登ろうと考えた。そして思い浮かんだのが天下台山だった。突然の思い付きなので、岩屋谷公園からのコースを登ろうかと考えたが、たまには西面側に建つ展望台を訪れるのも悪くないと思えて、西麓から登って行くことにした。西コースは市営墓地のそばから始まるが、着いたのは9時過ぎだった。まだ9月に入っていないのに、意外と涼しく、気温は24℃ほどだった。蒸し暑さが無いためか、いくぶん爽やかさが感じられた。この後のハイキングの様子は下の写真帳に譲るとして、この日は思わぬ余録があった。登山道を登り始めて水戸大神への参拝道が分岐する地点の手前で、下山してくるハイカーより、近くでサギソウが咲いているとの情報を受けた。一カ所はごく近くで一輪だけが咲いていたが、展望台コースに入って階段を登り始めて程なく現れた湿地では、十輪ほどが咲いていた。萎んでいるのも同じ数だけあったので、最盛期は数日前のようだった。それでも十分に目を楽しませてくれた。東屋の建つ展望台に立った後は、獅子岩に初めて訪れた。見る角度によっては、なるほどライオンの頭に見えなくもなかった。けっこう寄り道をしたので、山頂に立ったときは歩き始めてから45分ほどが経っていた。他に人影を見かけなかったが、まだ快晴は続いていた。しかも視界は悪くなく、遠くは後山の尾根がうっすらと眺められた。山頂で20分ほど過ごすと、下山はすんなりと西コースを戻った。2時間ほどのミニハイキングだったが、サギソウに出会えて幸せな気分になれたのは良かった。
(2014/9記)(2020/6改訂) |