TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨編
 
野瀬奥山  のせおくやま 328m
 No.3 たつの市・相生市
御坊山    ごんぼやま 160.2m
 No.1  相生市
1/2.5万地図 : 網干/相生
 
【2011年2月】 2011-21(TAJI&HM)
 
    《野瀬奥山》 御坊尾根より  2011 / 2 《御坊山》 相生市相生より  2011 / 3

 相生市を山の観点から見ると、御津山脈の西に開けた街となるが、そうなると当然、相生市街からの御津山脈へのコースもあるわけで、その中で野瀬奥山への道として、御坊山から御坊尾根で登るコースに興味を持った。2011年2月の建国記念日から始まる3連休は天気は良いとは言えず、3日目の13日が漸く晴れの天気となった。そこで朝からどこかに出かけたかったのだが、午前は用事があり午後にしか時間が取れなかった。その午後のみとなると必然的に近場の山となるのだが、その中で体を十分に動かせる山を考えたとき、御坊尾根が相応しいのではと思えた。
 駐車地点を考えながら御坊山の登山口に近づくと、そこは遠見山トンネルが近い位置で、トンネルのそばに遠見山公園の駐車場があった。そこで公園の駐車場に車を止めることにした。時計は13時を回った時間だった。午後に入って雲が増えており、空の半分以上は雲に隠されていた。そのためときどきでしか陽射しの現れない空だった。駐車地点から3分ほど歩いた位置が御坊山の登山口で、御坊尾根の西端の位置だった。そこには小さな標識が付いていた。登山道へは始めに法面の縁を歩き、次に階段を登った。その先は小さな畑のそばを通る。目印テープがあり、尾根方向と北に向かうトラバース道との分岐点にも小さな標識が付いていた。そこは尾根方向へ登ったが、その先でまたトラバース道が分岐したとき、道幅の広いトラバース道の方を歩いてしまった。そのうちにつづら道が始まると思ってのことだった。少し荒れた道で、左手に相生の町並みや相生港が眺められた。ところで小径はトラバース道のまま北へ向かうだけで、そのうちに下り坂になってきた。どうも違っていたようだった。そこで分岐点まで戻って尾根道を登ることにした。ちょっと寄り道をしてしまったことになった。尾根道に入ると、始めは細々と言った感じだったが、登るうちにはっきりとした小径になってきた。そして次第に周囲にササが増えて、ササの中を登るようになった。背後に相生港が見えていた。やがて登山道は緩やかになり、雑木の中を進むうちに小さなピークに着いた。周囲に高い位置が見えないことから、そこが御坊山の山頂のようだった。相生湾から見ると小ぶりながらどっしりと見えていたが、山頂の佇まいは雑木が雑然としてしている感じがあり、展望も樹間を通して西の方向が少し眺められる程度で、単なる通過点のピークと言った風だった。ごく短い時間の休憩にとどめて、御坊尾根歩きに移った。御坊山の山頂を示す標識は無かったが、尾根方向を示す標識は付いていた。南東へと続く尾根はすっかり雑木に覆われていたが、はっきりとした小径が緩やかなまま続いていた。展望の無い尾根道ながら素朴さがあり、その自然な佇まいを楽しむようにして歩いた。尾根に変化が現れたのは、209mピークを巻くように越えて尾根の南側に出たときだった。そこは露岩地になっており、いきなりのように風景が開けた。東にはこれから向かう野瀬奥山がどっしりとあり、その右手に続く御津山脈が一望だった。それを眺めて少時の休憩とした。その後の尾根歩きの再開では、始めに露岩地歩きが続いた。展望が良く更に天下台山も大きく眺められた。その露岩地を緩く下った後、登り坂になると、また尾根筋を歩くようになった。緩やかな登りで、周囲は再び雑木林となった。ときおり左手に天下台山が見えていた。ごく小さなピークに着いて野瀬への小径が分かれると、次に左手から御坊渓谷を結ぶ小径が合流した。そこよりはっきりと道が良くなった。前方に二つの送電塔が建っているのが見えたので、登山道は巡視路を兼ねているようだった。一つ目を過ぎ二つ目を過ぎたとき、広々とした所に出た。東から南に向かって展望があり、野瀬奥山が見上げるようにして眺められた。ちょうど上空は雲が広がっており、薄暗い姿で眺められた。その辺りでは登山道はほぼ平坦になっており、野瀬奥山の正面に向かうのでは無く、左肩の方向に向かって行く。そして相生市とたつの市との境界尾根に着いた。道はそこで十字路になっていたが、境界尾根に沿って鉄条網が張られており、東へは進めないようになっていた。鉄条網の中にはダイセル化学工業の敷地であることを書いた標識が立っていたが、どうやら馬場地区にある播磨工場で火薬類が作られているので、鉄条網は不審者を防ぐためかと思われた。その鉄条網に沿って小径は続いており、標識によると南へ登って行けば野瀬奥山で、北へ下れば天下台山へ向かえるようだった。ここは南へと登って行く。道ははっきりしているものの巡視路では無いので、少し荒れた風で続いていた。傾斜もきつく、漸くしっかりと登ることになった。その辺りはシダが茂っており、それがときおり道に被さっていたが、少し祓う程度で登って行けた。尾根は急角度で続くものの、やはり小さな山なので、5分も登れば尾根は緩やかになって木立に囲まれた野瀬奥山の山頂に着いた。ダイセル化学工業の社名が書かれた大きな標識の立っている風景は、以前と変わりなしだった。その先へと進めば展望地のあることは分かっていたが、この日の主な目的は御坊尾根歩きだったので、山頂に立ったことで良しとして下山とする。下山は馬場坂西コースを歩く予定だった。そこで登って来たルートを、御坊尾根から御坊渓谷につながる小径が分岐する位置まで戻ることにした。急坂を戻るので速かった。尾根からは天下台山が眺められて、それを見ながらだった。すぐに御坊尾根分岐に着いて御坊尾根に入った。そのときパートナーが少し離れたことが気になったが、そのまま歩き続けて30番鉄塔そばの展望地で一休みとした。そしてパートナーが追いつくのを待つことにした。ちょうど青空が広がって、野瀬奥山が明るく見えていた。ところが暫く待ってもパートナーが現れなかった。そこで叫んでみたが答えは無かった。心配になって御坊尾根が境界尾根に合流する地点まで戻って叫んだが、やはり答えは無かった。そのとき一つの推理を思い付いた。どうやら境界尾根をずっと北へと進んで、その先の273mピークを越えてしまったのではとの疑いだった。そこで境界尾根を下り、そして273mピークを越したとき、漸く誤りに気付いて戻ってくるパートナーと出会った。案の定だった。ただでさえ夕暮れが迫っているのに、これで30分ばかりのロスをしてしまった。御坊尾根に戻り、29番鉄塔の先の分岐点から、右手の沢に向かう小径に入った。急坂だったが、こちらも順視路になっているのか 道幅はあり、少し足下に注意すれば無理のない道だった。8分ほどで沢に着くと、そこから沢コースが始まっていた。御坊渓谷を歩けるとは思っていなかったので、それに興味を持って歩いてみることにした。沢の水は少なく、少し靴を濡らす程度で歩けたが、どうも一般的なコースと言えず、けっこうワイルドだった。そうのうちに急流も現れて歩きにくくなってきた。沢歩き好き以外はこのコースは進められないと思っていると、間近に小径が見えていた。それが馬場坂西コースで、何とも歩き易そうな小径だった。このまま沢コースを歩いていても時間がかかるばかりなので、後は馬場坂西コースを歩いて行くことにした。馬場坂西コースは沢に沿ってほぼ平坦路として続いていた。素朴な雰囲気もあって悪くなく、始めからこちらを歩いても良かったのではと思ったが、この道も最後まで歩くつもりは無かった。そのまま歩けば水子地蔵の位置に出ると思えるが、そこからだと駐車地点まで車道沿いを歩いて行くので、それはしたくなかった。そこで最後にもうひとあがきすることにした。それは御坊山の中腹を通るトラバース道を歩いて、始めに歩いた登山道に出会おうというものだった。麓が近づいたとき、トラバースコースが分かれたので、そちらに入った。そして沢を渡って御坊山の北麓に取り付いた。また山登りである。ここまででけっこう足は疲れていたが、最後のひとむちだった。少しヤブっぽい道だったが、50mほど登ると予定通りトラバース道になった。西に見える相生の街並みは、夕方の薄明るい色になっており、西の空は夕焼け色だった。それを見ながら南西へと歩いて、予定通り往路の御坊山コースに合流した。その位置から登山口まではもう僅かな距離だった。午後にちょっぴり厳しさのある山をと考えて御坊山から御坊尾根を歩いて野瀬奥山までのハイキングコースを選んだが、思っていた以上にしっかりと歩けるコースであったこと、また尾根には素朴な味わいがあたこと、下山で歩いた馬場坂西コースも雰囲気が良かったことで、十分な内容のハイキングになったことは、厳しかったことよりも面白かったことが優っており、もう一度歩いてみたいと強く思った。そして薄暗くなり出した車道を歩いて遠見山公園の駐車場へと近づいた。
(2011/4記)(2021/7改訂)
<登山日> 2011年2月13日 13:15遠見山公園駐車場スタート/13:18登山口/分岐点からトラバース道に入ってしまう/13:50分岐点に戻ってくる/14:06〜20御坊山山頂/御坊尾根を歩く/14:37〜42露岩の展望地/15:24市境尾根に合流する/15:31〜38野瀬奥山/15:52〜56[29番鉄塔]でパートナーを待つが現れず、この後捜しに行く/16:14御坊尾根を離れる/16:22沢コースに入る/16:34馬場坂西コースに出る/16:51馬場坂西コースを離れてトラバース道へ/17:10登山口/17:13エンド。
(天気) 雲の多い空で、太陽は雲に隠れることが多かったが、晴れとは言えそうだった。気温は5℃ほど。北風があったが、強くは無かった。視界は良かった。夕暮れになると、雲は急速に減ってきた。
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車は遠見山公園の駐車場に止めた 駐車地点のそばは遠見山トンネルだった 登山口は法面の角だった 法面の上へと歩き出す
法面の上に出ると、階段が続いた 階段の先から登山道が始まった トラバースの道が分かれたが、上に向かう
もう一度、トラバースの道が分かれた そこに
登山口の標識が立っていた
トラバース道の方が幅広のため、そちらを歩い
てしまった
トラバース道はときおり左手が開けて、相生湾
と相生の町並みが眺められた
歩くうちに尾根を登るものと思っていたのにト
ラバース道のままなので、引き返すことにした
分岐点に戻って尾根を登る 次第に小径がはっ
きりしてきたが、ササをかき分けながらだった
軽いササのヤブコギで登るうちに、尾根が緩や
かになってきた
御坊山の山頂に着く 少し雑然とした雰囲気だ
った
山頂の展望は悪かった 木立を通して北西を見
山頂の標識は無かったが御坊尾根の標識はあっ
雑木の尾根は緩やかで、ごく無難に歩いて行けた 木立を通して左手に見えたのは天下台山だった 自然な雰囲気のまま尾根道は続いた
尾根の途中で露岩地が現れると、一気に展望が広がった

 露岩地を歩いて
 行く

  天下台山も一緒
  に眺められるよ
  うになった
また雑木の中の道となった シダの茂る所も現れたが、道ははっきりしていた 自然な雰囲気の尾根道が続く
尾根の途中から西の方向を望む 左の写真の黒鉄山を大きく見る
相生湾を背景にパートナーが登ってくる 左手に天下台山を見る 左手から馬場坂コースを結ぶ小径が合流する
歩く先に二つの鉄塔が建っている 先に現れたのは30番鉄塔だった その下を通る ほぼ平坦な道で野瀬奥山の左肩へと近づく
29番鉄塔のそばで展望が広がった 東に野瀬
奥山が大きく迫っていた
境界尾根に合流した その先も道は続いたが立
入禁止だった ここより南へと尾根を登る
鉄条網に沿って急坂が続いた シダの茂る所も
あったが、ヤブコギと言うほどでも無かった
山頂が近づくと歩き易くなった 野瀬奥山の山頂は相変わらず雑木に囲まれていた すぐに引き返す 前方に天下台山が望まれた

 境界尾根からは北
 東に新龍アルプス
 も眺められた

   左の写真の亀山を
   大きく見る
29番鉄塔のそばに戻ってくる 明るい野瀬奥山だった ここでパートナーを待ったが、なかなか
現れなかった 
パートナーを探すと境界尾根を更に北へ歩いて
いた
御坊尾根を離れて御坊渓谷側へと下って行く 登山道は急傾斜で沢に近づいた 沢が見えてきた
沢に着くと標識があり、沢の中を歩くのも沢コ
ースとあったので沢コースを歩くことにした
沢の水量は少なく、靴を少し濡らす程度で無理
なく歩いていたが
次第に水量の多い所や急傾斜も現れてワイルド
になってきた
渓谷に沿って馬場坂西コースが続いていた 沢コース
は時間がかかるので、そちらを歩くことにした
馬場坂西コースは平坦なまま沢に沿って続いていた 
ごく素朴な小径だった
そばの沢は御坊渓谷の名に相応しい姿を見せることが
あった
馬場坂西コースを最後まで歩かず、途中で再び
御坊山に向かった
御坊山の北面を登って行く 振り返ると天下台山の西尾根が夕陽に赤く染ま
っていた
トラバース道に入ったとき、不思議な置物を見た トラバース道を南へと歩いて行く トラバース道から見る相生の町は沈んだ色だった
御坊山の登山道と合流して登山口へと戻って行
相生湾はすっかり夕暮れだった 登山口は近か
った
登山口を離れると、公園の駐車場が見えていた