「播磨 山の地名を歩く」で紹介されている神前山を登ろうと向かったのは2002年9月半ばのうっすらと紗がかかったような薄曇りの日だった。神前山だけでなく尾根続きの坂戸山も登ろうと考えていたので、この両山をまずは北側から眺めた。見ると神前山の北面に伐採地が広がっていたので、そこを目指して北側から登ろうと北麓の坂戸集落に入った。ところが坂戸集落で聞いたところ、登山道は無いとのことだった。傾斜がきついこともあって無理やり登るのもどうかと思えて、そこで尋常に登山道のある南側の二之宮神社からのコースを辿ることにした。南側に回って二之宮神社の駐車場に駐車とした。尾根に通じる小径は神社の東側より始まっていた。なだらかな尾根道で落ち着いた感じであったが、それも途中の送電塔までだった。その先は次第に荒れてきた。道幅は狭まり、道に被さる灌木の小枝が煩わしかった。シダも現れ、登るほどに道のはっきりしない所も現れた。それでも少し歩き難い程度では歩いて行けた。尾根は展望が良いとは言えなかったが、一部で東側の市川流域が眺められた。道のはっきりしない所は尾根を外れないように注意して上方を目指して行くと、東西に長く平らになった頂上部の東端に出た。ここに来て周囲の雑木林は少しは疎らになって、尾根道もはっきりしたものになった。樹間が空いたことで、ぐんと歩き易くなった。この頂上部は南側と北側とでは様相を極端に違わせており、南側は常緑樹の多い雑木林に覆われていた。そちらは二之宮神社の社叢のようだった。それに対して北側は広々と伐採地が広がっていた。植林はされているようだったが、まだ日が浅いようで幼木の姿だった。そこで適当な所で害獣避けネットの扉を通って伐採地に出た。七種山方向がけっこう近くに見えていた。その右側、北の方向は市川流域の住宅地が広く眺められた。これまであまり見ていなかった風景なので新鮮な感じで眺められたが、この日の視界は鮮やかさが無く、うっすらと紗がかかったような見え方だった。風が強いのにちょっと不思議だった。いずれは植林によって展望は閉ざされるのであろうが、とにかく展望としては素晴らしかった。その後は尾根を西へと歩いて、地図で332mの標高点が書かれているピークまで歩いた。ずっと歩き易い尾根道が続いたが、西端が近づくとこの尾根にも植林が見られるようになり、一帯は少し荒れた風になった。まずは西端まで歩いて、そこで昼食とした。その昼食後、南の展望を得たいと南面を覆う常緑樹林に分け入ると、ちょうど木々の空いた所があり、そこからは南東の方向が眺められた。眺められたのは日光寺山の尾根とその南の風景だった。また近くの木に登ってみたところ、西向かいの坂戸山を見ることが出来た。坂戸山の北面も伐採地になっていた。その背後は七種の峰々が並んでいる。坂戸山へは尾根を少し戻ることになるが、坂戸山へ続く尾根に入る前に、今一度神前山北面の伐採地に入って、北の展望を楽しんだ。坂戸山への尾根は植林地になっており、下る間は歩き難さは無かったが、鞍部に着いて坂戸山の登りに入ると、俄然歩き難くなった。害獣避けネット沿いを歩くのだが、そこはブッシュ帯と言うか、イバラや灌木が茂っていた。とにかく我慢強く登って行く。ただ小ぶりな山なので、さほど時間はかからずピークに着くことが出来た。そこに見た三角点が無傷できれいなのが印象的だった。その周囲は雑木が囲んでいたので、害獣避けネットを越して北面の伐採地に出た。そこも神前山と同様に素晴らしい展望地だった。ただ北から突風と呼べそうな強い風が吹き付けていたので、それを我慢しながらの展望だった。七種山山塊が神前山よりも近いだけに、いっそう大きく見えていた。いかつい姿の薬師峰も良く見えている。南西の方はと背伸びして見ると、そちらには大倉山があり、そして足下には近畿福祉大学が見えていた。展望を楽しんだ後は下山だったが、まずは南西隣のピークまで歩いて行った。そちらの尾根は濃い常緑樹林で、樹間の空いたところを選んで歩いた。尾根筋にはブッシュもあったので、少し東寄りを歩いた。そして小ピークに着くと、そこからは東に延びる急角度の尾根を一気に下って行った。尾根道が見えないため、適当に下って行く。全くの濃い樹林帯で、展望とは縁が無かった。下りきると、溜め池のそばに出た。その溜め池からは車道が続いており、その道を歩いて二之宮神社へと戻った。
(2003/2記)(2011/2改訂)(2021/7改訂2) |