07年はなかなか梅雨が明けず、7月の後半に入った21日の土曜日も、朝の空はすっかり雲に覆われていた。天気の回復は見込めそうに無かったため、ごく近い山で体を動かすことにした。そこで思いついたのがこの祇園嶽だった。たつの市の市街地に近い祇園嶽を、その名に惹かれて馬立登山口から登ったのは1996年9月のこと。その後、他のコースのあることも知り、その別のコースで登って再訪するのも良いのではとは常々考えていたのだが、軽い雨が降る程度でも登れそうな山を考えたとき、この祇園嶽が自然と思い浮かんで来た。
朝をゆっくりとしたため 姫路を離れたのは9時を回ってからだった。そして祇園嶽に着かぬうちに細かな雨が降り出した。この日考えたコースは、登りが祇園嶽の西からとなる搦手谷コースで、下山は東へと下る水布祢コースだった。そこで駐車地点は両コースに近い市野保集落内に求めた。少し登山道に入ったりと集落内をうろついたが、結局は越部神社の中に車を止めた。雨は小雨より少し強い程度になっており、雨具を着て歩き始めた。集落を西へと抜ける道はそのまま登山道へと変わった。道は暫く平坦なままで、次第に周囲を木立が囲むようになった。道幅も細くなり、普通の小径を歩いている様となった。雨は再び小雨となり、そして霧雨へと変わってきた。やがて現れたのが上堰堤休憩所と名付けられた東屋で、そこが祇園嶽へと向かう搦手谷コースの起点だった。(西へとそのまま歩けば新池へと向かう。)そちらに入ると、ごく細い小径で小さな谷に沿って続いていた。少し倒木があったりしたが、道としてははっきり続いており、また目印も点々とあって、安心して歩いて行けた。傾斜もさほどで無く、またヤブにもならずに歩いて行けたが、雨とあって足元は少し滑り易くなっていた。それと風も無く蒸し暑いため、けっこう汗をかきながらの登りだった。ふもとから見たときに山稜部はガスに隠されていたが、その状態は変わっていないようで、山稜が近づくと薄くガスが立ち込め出した。さほど無理も無く山稜に出ると、そこは峠となっていた。そのまま下りへの道に入るとそれは水布祢コースで、南へと尾根を辿れば揖龍アルプスの主脈へ、北へ向かえば祇園嶽だった。その祇園嶽へと向かうと、歩き易い道のままに10分ほどで山頂に出た。狭い山頂で木立に囲まれていたが、その先に岩場があって展望地になっている。揖保川に面しており、視界を遮る木立は無し。但しこの日はガスの中とあって、そのガスを通してうっすらとふもとが覗けるだけだった。まずは昼どきでもあり、この山頂で一休みとした。いつしか雨は止んでいたが、風も無く蒸し暑さもひとしおで、長くはじっとしておれなかった。展望も無いことでもあり、ごく軽い休憩で下山とした。下山は鞍部まで戻って水布祢コースに入る。こちらもマイナーコース。山頂とは谷を挟んで一つ南の尾根を下るのだが、尾根に出るまでに道に被さる倒木が多くあって、何度もまたいだりくぐったりして、少々疲れさせられた。ただ長くは続かず、尾根に出るとごく普通に歩けるようになった。そして足元にシダが増えて来た。小径が隠され気味になることもあったが、道は消えることも無く続いていたので、尾根を外さぬようにさえ心がければ、けっこう無難に下って行けた。ふもとに下り着くと、そこは市野保集落の南の位置で、集落とはさほど離れていなかった。後は栗栖川の支流にかかる小橋を渡って、越部神社へと戻って行った。晴れた日ならこの程度のハイキングでは物足りなかったかもしれないが、小雨の中ではまずまずの運動量となって楽しめた。また蒸し暑さの中で雨具を着ての登山だったため、雨具が汗取り合羽の役目となって思いっきり汗をかくことが出来、おかげでさっぱりとした気分になれたのは良かった。
(2007/8記)(2020/4改訂) |