姫路市街から北を見ると広嶺山から増位山へと続く尾根が眺められるが、その北には広大な丘陵が広がっている。ほぼ自然林の丘陵で、近畿自然歩道が通っているので森林浴として楽しめる所である。その丘陵の最高点である弥高山で昼食をとろうと向かったのは、2003年1月のことだった。軽いハイキングで弥高山に向かいたかったので、スタート地点は広峯神社の駐車場からとした。最初に参道を歩いて広峯神社に着いた。弥高山へ向かえる道は、神社の西側より始まっており、近畿自然歩道のようだった。やや幅広の緩やかな道で、周囲の雑木林は落ち着きがあり良い感じで歩いて行けた。ほとんどアップダウンの無いまま、弥高山に近づいた。弥高山へは自然歩道から分かれた小径を歩いた。すぐに山頂に着くも、前回に来たときと比べて少し様子が変わっていた。以前は中央に三角点がポツンとある普通の山頂だったのだが、三角点のそばには粗末な小屋が二つ建っており、一帯の木々が伐られてた。小屋の前には腰掛けも置かれていた。立て札があり、それは「播磨空港いらへん!市民の会共有地」を示すもので、そこは播磨空港反対グループの拠点だったようである。この弥高山を含めて広い範囲が空港建設の予定地にされていたのだが、空港の計画は頓挫してしまったので、反対運動も自然消滅の形となり、その名残が弥高山の山頂に残っていたようだった。その切り開かれて展望の良くなった山頂で、暫し展望を楽しんだ。少しモノトーンの感じになっている視界だったが、モヤがかった感じでは無く瀬戸の海が良く見えていた。山頂で少し遅めの昼食をとっていると、年輩のハイカーが南から現れた。聞くと増位山の方向から来たとのこと。小径は南へと続いていたのは知っていたが、増位山まで通じていたとは知らなかった。小径に興味を持ったので、増位山まで歩いてみたくなった。細いながらはっきりとした道で、けっこう歩き易いと言えた。小さなピークを越えたりして進んで行くと、随願寺と広峯神社を繋ぐ近畿自然歩道に合流した。後は自然歩道を歩いて行くので気楽なものだった。但し合流地点から随願寺まで1km以上あり、更にその先が増位山三角点となるので、予定と違って長時間ハイキングをすることになった。随願寺に着くと、寺の前の放生池は公園風に整備されており、車でそこまで来られるようになっていた。暫し随願寺を散策する。随願寺は姫路藩主であった榊原家の菩提寺であり、榊原家の墓のあることを知った。その墓地を通過して三角点ピークを目指す。また上り坂があって、けっこう足は疲れることになった。そして増位山の三角点に着いたときは、漸く着いたとの思いとなった。増位山は二度目のはずだったが、前回の記憶がほとんど無かった。そのため新鮮な気持ちで辺りを眺めた。そこにはベンチがあり、石碑もあって小ぎれいな佇まいを見せていた。展望も良く正面に畑山など市川の東に広がる山並みが眺められた。北東の方向には笠形山を、南は姫路平野の風景だった。けっこう味のある山頂だったことにうれしくなった。これでこの日の目的は達したので、後は広峯神社へと戻った。随願寺経由で弥高山からのコースが合流する地点までは同じ道を歩き、その先は初めて歩く自然歩道だった。小さなアップダウンがある林間の薄暗い道だった。広峯神社に戻ると展望所で姫路平野の風景を眺めた。そしておもむろに駐車場へと戻って行った。
(2003/6記)(2016/8改訂)(2022/5写真改訂) |