暑い季節は易しい山を登るに限るとの考えで広嶺山系の弥高山に向かったのは2022年8月始め、猛暑の続く中の一日だった。その弥高山登山が何とも厳しい登山と言うか災難になってしまった。登山の形にするのであれば麓から登ればよいのだが、軽いハイキングをする程度の気持ちだったため、シタート地点は広峯神社の駐車場からとした。そこから広峯神社まではゆっくり歩いて13分だった。後は弥高山まで標高差80mほどの登山道を真っ直ぐ北へと歩くだけだった。蒸し暑ささえ我慢すればとの気持ちで登山道に入ったのだが、一気に小さな虫がまとわりついてきた。メマトイなのだが数十匹どころか百匹ほどではと思えるほどの数だった。そのうちに離れるのではとの期待もむなしく、ずっとまとわり付かれた。手で払いながら歩くしかなく、防虫ネットの準備を怠ったことが悔やまれた。ただ登山道に関しては、道は平坦と言えるほどなだらかで、木々の風情も悪くなかった。単にメマトイが煩わしいだけだった。途中で右手に送電塔(溝口線16番)が建っているのを見たので、立ち寄ってみた。展望を期待してのことだったが、梢越しに山頂をちらりと見るだけだった。コース上には以前は見なかった弥高山の標識があり、山頂への道が分岐する位置にも標識があって、迷わずその小径に入った。坂を登って行くと18番鉄塔の前に出た。そこは三角点の位置では無く、三角点へはそこから南へと尾根筋を少し歩くことになった。緩やかに下って緩やかに登り返すと、登山道上に四等三角点(点名・***)を見た。周囲は樹林が囲んでおり、単なる通過点の雰囲気だった。その三角点の南側が少し開けているのだが、そこに着いてみると前回は少しあった展望が木々の生長ですっかり消えていた。ともかくその開けた所で休憩とした。当然木陰に入ってだった。休憩と言っても相変わらずメマトイにまとわりつかれた。更に2ミリも無い小虫も寄ってきたので、落ち着いて休むことは出来なかった。息が整うのを待って退散することにした。そこからは随願寺に通じる小径もあったが、本日の目的は弥高山のピークを踏むことだったので、素直に往路を戻ることにした。再びメマトイを払い除けながら歩いた。広嶺山の山頂に立ち寄る気は無く、真っ直ぐ広峯神社へと戻った。神社まで戻ればメマトイの数は一気に減ったが、まだ数匹は顔の前を飛んでいた。そのメマトイを連れながら駐車場へと戻って行った。暑さとメマトイにやられた弥高山だった。
(2022/8記) |