TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨編 
 
御殿山    ごてんやま 350.5m 佐用町
1/2.5万地図 : 三日月
 
【2009年7月】 No.2 2009-74(TAJI&HM)
 
    南東麓より望む(三日月駅に近い位置より)  2009 / 7

 旧三日月町の中心部に、三日月の模様が付けられているのが三方里山で、これは登山対象にはなりにくいごく低山だが、その背後で尾根をなだらかに見せているのが御殿山。その大仰な名はどうみても麓の三日月陣屋と関係する名と思われるが、その御殿山を初めて登ったのは1995年の6月のことだった。さほどの苦労も無く山頂に立てたと記憶していたため、ごく軽い登山をしたいときはこの御殿山を候補の一つぐらいにとその後考えていた。ただ他にも登りたい山が多くあった関係で、再訪は14年後になってしまった。2009年の7月のことで、まだ明けぬ梅雨空を眺めて、ごく軽い登山で昼どきを過ごそうと考えて思いついたのが御殿山だった。
姫路の自宅を離れるのが遅くなって、駐車地点として考えていた日岡八幡神社に着いたときは12時を過ぎてしまった。三日月町の空もどんよりと曇っており、やはり御殿山ぐらいが正解ではと思える空だった。神社の前の車道を東へと歩くと、すぐに「旧三日月藩乃井野陣屋跡」の前に出た。その陣屋跡の東端より山頂に向かう小径が始まっていた。道はこのところの雨でぬかるんでいたが、ごく気楽な気持ちで歩いて行けた。すぐに溜め池が現れて、その位置でなぜか小径は終わってしまった。そのようなことは無いはずだと溜め池の縁を見ると、地図通りにまだ小径は続いていたが、もういきなりササヤブだった。そのササをかき分けて行くと少しは歩き易くなったが、ヤブ道であることには変わらない。そのうちに歩き易くなるのではと思いながら進むと、谷筋はすっかりヤブになってしまった。山すその歩き易そうな所を辿ったが、特に歩き易いとも言えず、これでは意味が無いと思えて右手の尾根に向かうことにした。植林地の急斜面を登って行くのだが、間伐材が放置されており、それを跨いで行くのがちょっと面倒だった。無風のうえに湿気をたっぷり含んだ空気の中とあって、たちまち汗みずくになってしまった。すっかり当初の思惑と違ってしまったが、とにかく山頂まではと、かまわず登って尾根に出た。尾根は緩やかになっており、後は尾根なりに登れば山頂に着くはずだった。尾根は歩き易い所もあれば倒木の目立つ所もあり、歩き易い所を選びながら歩いた。尾根では季節がらキノコが多く見かけられたが、どうも毒キノコが多いようだった。その多少歩きにくい程度で山頂へ向かって行けると思っていると、突然イバラヤブに突っ込んでしまった。それを切り開きながら進むが、すっかりヤブコギ状態だった。どうも伐採の後の手入れが悪いようである。ただ小さな山だけにヤブは長くも続かず、そのヤブを抜けるともう山頂が近い雰囲気になってきた。山頂手前で共同アンテナに出会うと、その先は歩き易い小径があり、そして無難に山頂に着いた。歩き始めてから1時間ほどかかっていたが、ヤブが無ければ40分程度で山頂に着けたかも知れなかった。山頂は三角点回りは平らになって開けていたが、周囲は雑木が囲んでいた。そこより少し北に移動すると、そちらの方も開けた所があり、西の方向には僅かながら展望も得られた。そこに覗いていたのは大撫山で、その右手には利神山も小さな姿を見せていた。その位置で昼休憩とする。足下は草地になっており、休むには良い所だった。登山中はほとんど風を受けていなかったのだが、ここに着いて僅かながらも風があり、汗ばんだ体に快かった。そのほんのり涼しい中で山頂での昼どきを過ごして、さて下山だったが、登って来たヤブ尾根を歩きたく無かった。そこで地図を広げて、破線の記号は無かったが、尾根の形から易しいのではと思えた、登って来た尾根の一つ西隣りの南尾根を下ることにした。ところで山頂には登って来た小径以外にも他の方向からも登山道が来ており、一つは北の尾根から、もう一つは西からの道が見られた。南尾根に入るには登って来た道を共同アンテナの位置まで引き返し、その先より南の方向へと向かうことになる。その南尾根に入って見ると、一帯は植林地で、そして思っていた以上になだらかで歩き易かった。歩くうちに小径も現れていっそう歩き易くなった。そして20分ほど歩いて鉄塔の前に出た。そこからは小径は巡視路の様相で続いた。尾根の雰囲気は良く、うれしいことにこの尾根では食用キノコのヌメリコウジタケをよく見るようになった。まだ小さな姿のものが多く、引き抜くと傘の裏が鮮やかな黄色だった。そのヌメリコウジタケを少し摘んだりしながら歩いていると、また鉄塔に出会った。そこは多少展望があり、南に多賀登山の尾根が眺められた。その先の尾根道はすっかり巡視路の姿で続き、またキノコを眺められながらでもあって楽しく歩けた。その巡視路を下りきると、林道へと下り着いた。その林道はその先で二手に分かれていたが、道標が置かれており、それには「右は市ノウエ(市ノ上)、左は西ノワキ(西の脇)」と彫られていた。その道標に従って左の道をとると、右手前方に「味わいの里三日月」の建物が見えてきた。そして害獣除けゲートを抜けると、そこは西ノ脇集落の外れで、駐車地点までは10分ほどの距離だった。
 登りこそ予期せぬヤブコギとなって苦労させられたが、下山はこれも予期せぬ登山道を歩けた上にキノコ狩りも楽しめて、御殿山も里山として十分に楽しめることが分かって良かった。ところでこの日に採れたヌメリコウジタケはさっそくその夜の汁の実となったが、ちょっぴり酸味のある爽やかな味であり、歯触りも良く、食用キノコとしてけっこう上の部類ではと思えた。
(2009/8記)(2019/11写真改訂)
<登山日> 2009年7月20日 朝のうちは薄雲が広がっていたが、徐々に青空が現れてきた。そして昼には雲が多いものの晴れと呼べる空までに良くなっていた。気温は低めで、木陰では10℃ほどとひんやりしていた。陽射しの中でも15℃ほどの感じだった。山頂では少し風あり。視界は良く澄んでいる方だった。下山を終える頃には、また雲が広がってきた。
(天気) 曇り空。蒸し暑さあり。尾根は無風だったが、山頂では微風ながら風があった。その山頂の気温は25℃。視界はうっすらとしていた。
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駐車地点は、この日岡八幡神社の前とした 始めにこの三日月陣屋館の前を通って行く この溜め池の前に来るまでは歩き易かったが
溜め池の脇を歩き出すと一気に荒れ道となった 谷筋は歩き難いので、少し山寄りを歩いた 谷筋は諦めて、左手の尾根を目指すことにした
尾根に出ると比較的歩き易くなった 白いキノコを見かけだす シロオニタケの一種か 尾根でもヤブに突っ込むことになった
山頂が近づいて共同アンテナに出会った 後は山頂まで、ぐんと歩き易くなった 山頂に着いた 三角点の辺りは開けていたが
周囲は樹林が囲んでおり展望は無かった 少し北に移動すると西の方向の木立が空いていた そこからは大撫山が淡く見えていた

大撫山の右手を見
ると、利神山まで
が眺められた

山頂から北の方向
へも小径が続いて
いるのが分かった
下山は南尾根を辿って行く 歩き易い尾根だった 次第に巡視路がはっきりしてきた キノコの多い尾根だった ベニイグチを見る
これはヌメリコウジタケのようだった ヌメリコウジタケの傘の裏は鮮やかな黄色だった 変わった色のイグチを見る
尾根の途中で送電塔に出会った その先でまた送電塔に出会った 少し展望があって南東の方向を望めた

右の写真の右手
(南の方向)を
見る

尾根の巡視路は良
い雰囲気で続いた
巡視路を下りきって林道に合流した 林道の分岐点には古い道標が立っていた 集落が見えてきたとき、最後にゲートを越えた