2003年12月7日は西脇市近郊の低山と決めて、午前は鳴尾山のミニハイキングに向かったのだが、午後に登る山は決めていなかった。鳴尾山ではまず北端となる鳴尾山城跡に立ったのだが、そこより北を見ると、鳴尾山と対峙するかのように近い位置に、小ぶりながらすっきりした三角錐の山容が見られた。地図を見ると三角点を持つ363mピークだった。山頂まで破線路も記されていた。午後の山はこれだとすぐに決めた。鳴尾山を下山すると、早速向かった。駐車地点は地図の破線路が始まる位置に近い稲荷神社とした。歩き始めて、近くにいた人に聞くと矢筈山だと教えていただいた。辺りは新興住宅地だったが、溜め池のそばを巡ると、道は山中へと入って行った。薄暗い森の中をはっきりとした道が続き、やがて上り坂となって尾根に辿り着いた。尾根にも変わらず歩き易い道が付いていたが次第に傾斜がきつくなって来た。前方に幟が立っているのが見えており、着いてみると小さな稲荷社があって「大山祇大神」と書かれていた。そこは少し展望が良く、南にはすっきりと鳴尾山が見えていた。そこを過ぎると、ずっと上り坂が続いた。灌木類が多いので、背中に暖かい陽射しを受けることになり、冬の季節の登山として程良い運動をしている感じで悪くなかった。気持ちの良い汗をかきながら登って行くと、山頂が見えたときそちらにも幟が見えていた。休憩の必要もなく軽い足取りで登ると、駐車地点から30分ほどで山頂に到着となった。山頂と言っても地図を見ると、この矢筈山はほぼ同じ高さで三つのピークが並んでおり、三角点ピークは中央ピークとなっている。着いたのは南のピークで、そこには祠や小さな神社(矢筈日ノ大神)もあり、ちょっとした神域になっていた。頂上部は平らになっており、周りを樹林が囲んでいる様はちょっとした境内の雰囲気があった。そこまでの道は参道ということなのだろう。どうも素朴さとは遠い雰囲気だったが、無人とあって静かに過ごせるのは有りがたいことで、暫しの休憩とした。このピークは展望が素晴らしく、東から南にかけて、広々と視界が開けていた。足元には西脇の市街地が平野部いっぱいに広がっており、その中を加古川が貫いている。そして背後には幾重にも山並みが重なっていた。午後となって空には雲が増えてきたが、澄んだ視界の下この展望を大いに楽しんだ。この後は、北に続く二つのピークを覗いてみようと、そちらに向かった。数分で中央ピークに着く。三角点こそあったが、雑木に囲まれて薄暗く、あまり見所は無かった。それに何となく雑然とした感じだった。その北のピークにも立ち寄ったが、雰囲気は中央ピークとあまり変わらなかった。やはりこの矢筈山は、南のピークの社殿に立ち寄って、そこでのんびりと憩うのが良いのであろう。帰りのコースとしては、地図にあるもう一つ別の破線路(中央ピークから東に延びているコース)を考えていたが、どうもそのような道は見えず、またあえて探す気も無かったので、もう一度南のピークに立ち寄って、往路と同じ道を戻って行った。
(2003/12記)(2015/8改訂)(2019/3写真改訂) |