澄んだ快晴の日に出かけられないのは悲しいことだが、せめて半日でも時間がとれるのなら、近場でミニハイキングを楽しみたいものである。2003年3月の23日はその澄んだ快晴の日だったが、午後に用事があって遠出が出来ないことになってしまった。そこで午前だけでもと、近くの山で軽いハイキングを楽しむことにした。向かったのは書写山。久々のためか、少し新鮮な気持ちを持って向かった。コースとしては西坂参道を登って東坂参道を下ることを考えた。
車はロープウェイ駐車場の西外れに駐車とした。西坂参道の登山口へと、県道545号線を西へと歩いて行くが、登山口がうろ覚えだった。何とか分かるだろうとの気持ちだったが、歩いていると近郊を描いた絵図があって、あっさり登山口の位置が分かった。それは姫路工大の東にあるようで、その方向へと住宅地を抜けて行った。そしてあっさりと登山口に着いた。その西坂参道は書写山山上に出るコースとしてはメインルートになるのであろうか、車の通れる幅があり、車道になっていた。但し入口にクサリが張られて、許可車しか入れないようになっていた。道は始めこそ舗装されていたが、すぐにダート道に変わった。ダート道と言えども路面は舗装路と変わらない平坦さがあった。終始緩やかで、散歩道だった。丁石があって、二十丁から始まり、数十メートルで一丁ずつ減っていた。歩き易いままに少しずつ早足となり、周囲の新緑はちらっと見るだけでどんどん登り、一気に山上に出た。すっかり汗をかいてしまった。そこから摩尼殿まではわずかな距離だった。まだ朝早い時間とあって摩尼殿の辺りは涼やかで、新緑がまぶしいほど鮮やかだった。摩尼殿には立ち寄らず、そのそばから始まる山道(近畿自然歩道)で、山頂そばの白山権現に向かった。まさに山道で、植林に囲まれて薄暗い中を登って行った。白山権現に出ると、そのそばが一段高くなっており、広場になっていた。そこが山頂だったが、杉と雑木の混合林に囲まれて薄暗かった。すぐに摩尼殿へと戻った。円教寺に来たからには、やはり大講堂、食堂、常行堂の三つのお堂が集まる広場まで行かねばと、そちらに向かった。まだ訪れる人はちらほらで、広場は静寂が広がっていた。そこに立っていると古刹のまっただ中にいることが実感出来て悪くなかった。散歩しているだけで贅沢な気分になれる所だった。その広場から南西に少し歩くと金剛堂の前に出たが、そのそばが展望所になっており、立ち寄ってみた。なるほど展望が開けていたが、樹林が育ってけっこう視界を妨げていた。それでも南の平野部がまずまず眺められた。下山は東坂参道を下る予定なので、参道をゆっくりとそちらに向かった。仁王門を過ぎて暫く歩くとゲートが現れて、そこで東から来た人は拝観料を払うことになっていたが、このとき西坂参道では拝観料を払わなかったことに気が付いた。どうも刀出コースと言い、円教寺拝観料徴収はロープウェイで訪れる人を主なターゲットとしているようだった。そこを過ぎてロープウェイ山上駅へと下って行くが、その途中で東が広く開けた所が現れて、広峰山の方向が眺められた。その一帯の東面が伐採されていたためだった。弥高山も氷室山も良く見えていた。そこより少し下って山上駅の前に出た。この駅舎の屋上が展望台になっており、そこからの展望がこの日の楽しみの一つだった。上がると、先ほどの展望地よりも一段と広い展望が広がっていた。広峰山だけでなく、南の姫路平野に点在する里山が一望だった。北東方向も望めて、その中にうっすらとながら笠形山も眺められた。他には置塩山や谷山も見えていた。期待通りの展望に満足だった。後は東坂参道をのんびりと下って駐車地点へと戻って行った。
(2003/6記)(2010/10改訂)(2021/4改訂2) |