2014年6月に鯰尾坂を歩くと、書写山で歩いていない登山道は置塩坂のみとなった。その置塩坂を歩こうと向かったのは翌年の11月下旬、紅葉の季節だった。たまには人出の多い書写山も悪くないだろうと、紅葉期を選んだものだった。その紅葉もしっとり濡れているのが良いのではと、小雨が予想された11月23日の勤労感謝の日に向かった。置塩坂ならバス便が便利なのだが、車で行くことにした。そこで置塩坂を登るのに一工夫した。スタートはロープウェイ駐車場からで、始めに東坂を登って山上に出る。円教寺境内に入ると摩尼殿まで進み、摩尼殿のそばから始まる置塩坂に入る。置塩坂を登山口まで下りてくると、再び置塩坂を登って摩尼殿まで戻ってくる。後は紅葉の円教寺境内の散策を楽しみ、最後にロープウェイに乗って麓に下りてくると言う考えだった。ロープウェイの駐車場に着いたのは9時20分。朝早いとあって車はまだ少なかった。空は天気予報に反して雲は多いながらもあおぞらも見えており、小雨の降る気配は無かった。往路の東坂は何度も登っているコースでもあり、始めこそゆっくり登っていたが、三丁目からはトレーニングをする気分で十一丁目まで一気に登った。一汗かいた後は志納金500円を払って円教寺境内へと入った。徒歩で登ってきたので、その間にロープウェイで来た人が増えており、前後に人の途切れは無かった。摩尼殿までは針葉樹や常緑樹が多いためか紅葉の雰囲気は少なかったが、ちょうど見頃に色付いた木もちらほら見かけられた。摩尼殿まで来るとそこはさすがに人が多く集まっており、摩尼殿も紅葉の木立に包まれていた。その摩尼殿への石段は登らず、右手のトイレがある方向へと歩いた。トイレの前を通り抜けても道は続き、北へと向かう道に入ると、そこから置塩坂が始まっていた。最初に緩い上り坂があり、その後は程良い歩き易さの登山道が下り坂で続いた。周囲は自然林とあって雰囲気は悪くなく、途中には置塩山が眺められる展望スポットもあった。緩い下りとあってけっこう気楽な気持ちで下った。どこに下り着くのかと興味を持って麓に近づくと、堰堤が現れた先で北方向へと向かい、そして緩やかなまま登山口に下り着いた。登山口の名は書写吹だった。目の前は県道67号線で、交通量は多かった。ごく近くに見えたバス停があり、バス停の名も書写吹だった。辺りの様子を見届けると、すぐに置塩坂を引き返した。ごく気楽な感じで下ってきただけに、登りも無理なく登って行けた。但しこの日二度目の登りとあってゆっくりと登った。一度、置塩城跡の見える所で小休止をとっただけで後は休まず登ると、登山口から50分で摩尼殿に戻ってきた。摩尼殿は始めに着いたときよりもずっと人出は増えており、さすがに紅葉シーズンの休日と思えるだけの賑わいだった。後は円教寺境内の散策を楽しんだ。食堂の方へと歩き、食堂の前で昼食をとると、鐘楼、金剛堂と歩いた。そちらは色付いた木が多くあり、全体としては少し盛りを過ぎているように思われたが、部分部分ではまだまだ見頃の色付きを見せていた。またこの日は特別公開が行われており、金剛堂の内部が公開されていた。ひとしきり紅葉散策を楽しんだ後は山頂を踏むことにした。但しパートナーは摩尼殿をじっくり見たいと言うので、一人で山頂に向かった。大講堂のそばからの広い道で十地坊跡地に出て、そして山頂に立った。その山頂からはショートカットの山道で摩尼殿へ下りて行った。。パートナーと落ち合うと、襖絵が特別公開されている十妙院に立ち寄った。そして書写山散策を終えると、ロープウェイ駅へと向かった。ロープウェイ駅の屋上は展望台になっており、そこからの展望を楽しむと、ロープウェイに乗って麓に下りることにした。東坂を下っても良かったのだが、駐車場を使わせてもらっていることでもあり、たまには地元にお金を落とすのも良いのではと考えてのことだった。片道とあって乗車券は500円だった。もうすっかり観光気分となってロープウェイに乗り込んだ。
(2015/12記)(2020/7改訂) |